デビューから今を全力で駆け抜ける俳優・高橋文哉さん。作品を重ねるなかで、見えてきた自分のこと、そして仕事のこと。これから日本のエンタメを背負って立つであろう彼の、今いる場所とは――。今回はインタビューの前編をお届け。
人間観察をしていつか演じる役の糧に
「仕事のことを考えていないと、生きている実感が湧かない。もし今、1ヵ月間休みをいただくことになったら、つらいかもしれません。だったら休みなんかいらないから1ヵ月間現場に行き続けたいと思ってしまうんです」
18歳で主演を務めた「仮面ライダーゼロワン」から4年。話題のドラマに数々出演し、高橋文哉さんの仕事への思いはどんどん大きくなっている。
「僕の場合、役によって作り方がまったく違うものになると気が付きはじめています。積み木のように情報を組み立てて作る役もあれば、スポーツのように瞬発力で演じる役もあって、毎作とにかくやってみないとわからない。それがとても面白いんです」
そもそも高橋さんは、大の「人間好き」。日々人間観察をしては、いつか演じるであろう役のためにインプットを続けているそう。
「昔から電車の中では、イヤホンで音楽を聴くよりも周囲の人の会話を聞いている方が楽しかったし、人と話していても、『この人は目をすぐ逸らすな』とか『この人は、じっと目を見るな』とか、すっごく見ちゃう。それってとても役の参考になるんです。デビュー当時は、人の多い大きな駅の改札口に張り込んで、役のイメージに近い人を探してました。『あ、この人、っぽいかも!』と思う人がいれば、仕草を観察、真似していたんです」
少しずつ芽生えてきた高橋文哉としての責任感
3兄弟・末っ子ゆえの人懐っこさで、撮影現場では「常に先輩に甘えて過ごしていた」という。けれど今、自分の立ち位置についても、思うことが増えてきた。
「僕はすごく運が良かったんです。素晴らしい先輩方に、たくさんのことを教えていただきました。そのことを自分のなかにこれからは残していかないといけない。自分の立場、責任というものを最近は感じるようになりました。主演をやらせていただいたことが大きいのかもしれません」
高校生を演じた主演映画『交換ウソ日記』では、積極的にスタッフ、キャストに声をかけ、現場の中心にいられるよう心掛けた。
「これまでずっと先輩に現場を盛り上げていただいていましたが、今回は僕がやらないといけない。現場では年下の方も年上の方もいましたが、僕が中心となり、きちんとコミュニケーションをとって、みんながやりやすい現場に自分がしなければいけないとすごく意識しました」
映画『交換ウソ日記』
原作/櫻いいよ
監督/竹村謙太郎
出演/高橋文哉、桜田ひより、茅島みずき、曽田陵介、齊藤なぎさ/板垣瑞生 ほか
※7月7日(金)全国公開
https://movies.shochiku.co.jp/koukan-usonikki/
高橋文哉(たかはしふみや)
2001年3月12日生まれ、埼玉県出身。’19年「仮面ライダーゼロワン」で主演。以降ドラマ「最愛」「君の花になる」「女神の教室〜リーガル青春白書〜」など話題作に出演。公開中の『ブラッククローバー 魔法帝の剣』では声優を務めた。