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2023.05.09

夏木マリ×土屋太鳳の共演「試されるときは、新しい挑戦ができるとき」

夏木マリさんと土屋太鳳さん、私たちを惹きつけてやまないふたりの“表現者”の世代を超えた共演が舞台『印象派NÉO vol.4 The Miracle of Pinocchio「ピノキオの偉烈」』で実現! 期待が高まる舞台に向け、その心境を伺った。

夏木マリ×土屋太鳳-top

ピノキオと正反対の優等生。だからこそ演出したいと思った

夏木マリさん(以下、夏木) 私は太鳳さんの古参のファンなんです。彼女がデビュー当初に出演したMVを見てから、私の演出する舞台『印象派』のプリンシパルとして一緒にパフォーマンスすることが長年の夢でした。2020年に実現の希望が見えたのですが、世界的なパンデミックとなり中止に。

土屋太鳳さん(以下、土屋) 初めてオファーをいただいたときは、憧れのマリさんにお声がけいただけたのが信じられなくて、気付けば会いに行っていました(笑)。

夏木 当時、私がやっていた舞台に会いにきてくれて、「土屋太鳳がひとりで来た!」って楽屋やスタッフが騒然となったんだから(笑)。

土屋 マリさんに初めてお会いした日から、私の人生の節目にはマリさんが。今回の舞台も例外ではなく、もしかしたらあの瞬間すでに「ピノキオ」はこの世のどこかに生まれていて、少しずつ私に近づいてきてくれていたのかなって今となっては思います。

夏木 童話の世界では残虐性が高いといわれている、ピノキオ。正反対のキャラクターを持つ太鳳さんがピノキオを演じたら、どんなピノキオになるんだろうって興味がむくむくと湧き上がっちゃって。好奇心で生きている私は、食べたことのないものは食べてみたいし、見たことのない景色を見てみたい…とにかくいろいろな体験をしたいんです。だから、昨年12月末に太鳳さんから「お話があります」と連絡をもらったときは、ピノキオが愛を見つける軌跡を土屋太鳳がリアルに演じてくれるのではと思って、演出家としては正直ニヤリとしてしまいました(笑)。

土屋 「印象派で生み出す作品が私の子供」とマリさんが常々おっしゃっているのを知っていたので、正直に言うと、今回の舞台はあきらめる方向になるのではないかと思っていたのです。その予想に反して、「試されるときは、新しい挑戦ができるとき」という言葉をくれて、舞台に立つことを歓迎してくれたマリさんには感謝してもしきれません。だからこそ、今の私にしかできない表現を届けたいと思います。

夏木 ものづくりをする人は時に残酷だから、子供を持つという、世界で最も勇気のある決断をしたパフォーマー・土屋太鳳と一緒に創る舞台は唯一無二の軌跡であり、今後見たいと思って見られるものではないと確信したの。

土屋 「太鳳ちゃんが我が子に初めて読む童話だね」というマリさんの言葉は、きっと一生忘れられないと思います。私自身、幼いころは母によく童話を読んでもらっていましたが、そんな日が自分にも来るとは思っていませんでした。改めて大人になって読み返してみても、現代社会に根深く巣食う、時として不都合な真実を残酷なまでに仄めかしていて、ドキッとするものがあって。

夏木 驚くべき勢いでテクノロジーが進化して、ライフスタイルがどんなに様変わりしようとも、私たちが生きていくうえで悩み、あるいは乗り越えようとする障壁は、コアな部分では、いつの時代もそんなに変わらないのかもしれないなって。だからこそ、すでに愛を宿した土屋太鳳演じるピノキオがどうやって愛を見つけるのか、とても興味があるし、楽しみでもあります。

土屋 子供のころから抱く「夏木マリというレジェンド、表現者」への憧れと畏怖。マリさんへの尊敬や想いが加速し、「もっとマリさんという人を知りたい!」と渇望して出会えた終着点が『印象派』でした。この稀有な存在に挑戦する資格があるのか自問しつつ、マリさんを追いかけ導かれ、憧れと畏怖が沸点に達する瞬間にたどり着こうと思います。

夏木マリ×土屋太鳳2

〈夏木さん〉ジャケット、ワンピース、ピアス、ブレスレット、リング/すべて本人私物 〈土屋さん〉ブラウス¥75,900・スカート¥68,200/ともにアオイ(エムエスジーエム) イヤカフ¥29,700/プリュイ トウキョウ リング(右手)¥102,300、(左手)¥90,200/ともにプライマル

『印象派NÉO vol.4 The Miracle of Pinocchio「ピノキオの偉烈」』
演出/夏木マリ
演出助手/川本裕子
出演/土屋太鳳、マメ山田、 Mari Natsuki Terroir、夏木マリ
圧倒的空間と演出のダイナミズムが魅力のコンセプチュアルアートシアター『印象派NÉO』。童話の残酷性と現代社会を演出コンセプトに「ピノキオ」を題材にした新作を6月3日から日本各地で上演予定。
https://inshouha-neo.com/

夏木マリ(なつきまり)
1973年にデビュー。’93年からコンセプチュアルアートシアター『印象派』で、海外の有名演劇祭に参加。毎年秋に京都・清水寺での奉納パフォーマンス『PLAY×PRAY』を実施。途上国支援『One of Loveプロジェクト』の代表。

土屋太鳳(つちやたお)
1995年2月3日生まれ、東京都出身。2008年に『トウキョウソナタ』で映画デビュー。監督に挑戦した『アクターズ・ショート・フィルム3』が放送・配信中。現在公開中の『わたしの幸せな結婚』に澄美役で出演。公開待機作に『マッチング』がある。

PHOTO=彦坂栄治(まきうらオフィス)

STYLING=[土屋さん]瀬川結美子

HAIR=[夏木さん]TAKU for CUTTERS(vow-vow)

MAKE-UP=[夏木さん]KEN SHIROMA(vow-vow)

HAIR & MAKE-UP=[土屋さん]尾曲いずみ(ストーム)

TEXT=大塚悠貴

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