ストイックに俳優道を極める、妻夫木聡さん、窪田正孝さんのおふたりにインタビュー。「愛」について4つの質問に答えていただいた。
Q1. “ご自愛”するなら、何をする?
妻夫木聡さん(以下、敬称略) 窪田くん、ストイックだからご自愛とかできる? 時間ができたら筋トレとかして頑張っちゃうんじゃない? 家に懸垂マシンあるんでしょ。
窪田正孝さん(以下、敬称略) ご自愛で筋トレはしませんし、その懸垂マシンはもう捨てました(笑)。食でエネルギー入れて癒やされたいですかね。行ってみたかった焼き鳥屋さんに行ったり、お鮨屋さんを予約してみたり。一緒に食べてくれる人がいて、共有できるっていうのも大事。
妻夫木 僕は、いろいろ普段からスケジュールびっしり決めてしまうので、ご自愛なら、何も決めない時間を過ごすことかな。
窪田 制約のない時間ってやつですね。
妻夫木 ぼーっとしてもいい、携帯いじっていてもいい。そういう時間って贅沢なんですよ。子供が生まれて、初めてそれを知りました。もちろん家族との時間が一番大事だけど、たまのご自愛なら、そういう時間もいいかな。
Q2. 仕事への愛を感じる瞬間は?
妻夫木 恋に落ちる瞬間って理由があるのかわからないでしょう。仕事もなんで好きなのかわからないけど、結局ずっと恋している状態に似ている。職業病で街行く人をじっと観察してしまうし、趣味でボクシングとか英語とか始めてみても、「これ絶対演技で使えるぞ」って思っちゃったり。愛を感じる瞬間があるのではなく、ずっと一緒に僕とあるものなんだろうなという感覚です。
窪田 わかる気がします。お芝居をすること自体が人間を表現しているし、人間を表現することは、昔から受け継がれてきたこと。歴史のあることです。ごくまれに、演技をしていて人間というものを受け継いでいる、と感じる瞬間があって、そのときは、ハッとします。
Q3. 仕事では、感謝と愛を言葉にしている?
窪田 実は、仕事での方が愛を伝えるのって難しいかも。感謝の気持ちを伝える『ありがとう』は常に言おうと思っているけど、愛は仕事の内容で伝えたいなと思うから。
妻夫木 役者同士は現場では、互いの演技のことって話さないんですよ。演技については監督が決めることだから。そういう意味で、窪田くんとも作品について話したことはないですね。言わないのも愛。もちろん相談されたら誠心誠意応えようと思っています。で、スタッフさんたちや周りへの感謝の気持ちは、差し入れで示しています(笑)。
Q4. 家族に愛情表現できる方?
妻夫木 愛情表現って得意じゃないかも。昔はサプライズのプレゼントとか渡していたけど、最近は押し付けがましいのも嫌だなぁって。そばにいるということそのものを大事にしたいから。でも一周回ってもっと年をとったらまたやりだすかも。
窪田 僕は、家族でも家のことをやってくれるのは当たり前ではないから、ちゃんとありがとうと伝えたいと思っています。ありがとう、ごちそうさま、いってらっしゃい、おやすみ。それは絶対伝えるようにしています。あとはたまに、家に花を飾って置いておいたり、サプライズで花を買って帰ったりしています。
妻夫木 まじか! えらい!
妻夫木聡&窪田正孝が出演する映画『ある男』が公開中!
「亡くなった夫、大祐の身元を調査してほしい」という奇妙な依頼を受けた弁護士の城戸。愛したはずの夫はなぜ、別人として生きていたのか――。平野啓一郎原作のヒューマンミステリー小説を映画化。
原作/平野啓一郎
監督・編集/石川慶
出演/妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝ほか
配給/松竹
妻夫木聡(つまぶきさとし)
1980年12月13日生まれ、福岡県出身。2001年『ウォーターボーイズ』で映画初主演、以後『東京家族』『愚行録』など数々の作品に出演。2010年『悪人』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。
窪田正孝(くぼたまさたか)
1988年8月6日生まれ、神奈川県出身。ドラマ「デスノート」、映画『犬猿』などに出演し、NHK連続テレビ小説「エール」で主演を務める。公開待機作に『湯道』『スイート・マイホーム』がある。