毎月1回、写真家の操上和美が綾野剛を撮り続ける――。2021年の春から冬にかけて8ヵ月に及ぶセッションが終わり、500ページを超える作品集『Portrait』がついに完成する。その制作の日々を二人に緊急インタビュー。
ストイックで情が深い男
2023年1月26日。綾野剛41歳の誕生日に発売されるこの肖像作品集。8ヵ月にわたり月1回、同じスタジオ、同じ画角で綾野剛を定点観測するかのように撮り続けてきた、写真家・操上和美さんは、綾野さんのことをこう表現する。
「ストイックで情が深い。普通ストイックな人って嫌なヤツってことが多いですが、綾野さんは情が深い。でもこれ以上ストイックな男はいないってくらいストイックなんです。自分と常に戦っている人だからこそ、アングルを変えないで撮った写真で、500ページも作ることができるんですよ。
彼は常に役としての日常を生きている。普段は仕事が終わって夜になったら普通の綾野さんに戻るのかもしれないけれど、ドラマが続くと多分夜も戻っていないのではないかな。今回の写真にはそういうところもちゃんと写っています」(操上さん)
綾野さんの、日々の役作りのための“肉体改造遍歴”も写し込まれている本作。忙しい毎日のなかでも、綾野さんは毎回操上さんとの撮影を楽しみにしていたそう。
「今日も操上さんに会えるという嬉しい気持ちで撮影に行きました。撮影中はほとんど言葉を交わすこともなく、緊張感が常にありましたが、一方で操上さんの前に立つと安心もしました。操上さんは、感情を特別にしない写真を撮ってくださる。それが嬉しいんです。僕はカメラの前でいかにマネキンのようにただそこに居るかを考えてきましたが、操上さんはたった数回のシャッターでそれを完璧に表現してくださる。衝撃的でした」(綾野さん)
出来上がったこの作品集は、持ち主と一緒に年をとっていく
本作の制作で綾野さんがもっともこだわったのが、紙質なのだそう。
「制作で唯一提案をさせていただいたのは紙でした。紙って肌に触れるものなので、やわらかいものにしたかった。それに光を反射するものではなく、吸収するようなものを作りたいと思ったんです。だから、新聞紙や漫画誌に近いザラザラとした質感の紙を選びました。手に黒いインクがついて、インクの匂いもするような、そんなイメージです。写真としてはザラザラした紙だとディテールが見えづらく、印刷も難しいそうなのですが、操上さんは『かまわない。それでいい』とおっしゃってくださいました」(綾野さん)
ザラザラとした薄い紙は経年劣化が早いけれど、それこそが、綾野さんと操上さんの狙い。
「写真のなかには、時代や時間そのものは写っていません。でも出来上がったこの作品集は、持ち主と一緒に年をとっていく。届くときに、角が折れていたり潰れていたりするかもしれない。それもその本にしかない良さです。購入していただいた方に届くまでの、その本の時間が表れています。手にした方が、こうやってぐるっと丸めて持ってもらってかまわないです。同じ本でも、異なる時間があるんです」(綾野さん)
そう言って、綾野さんは作品集の束見本(完成形態と同じ用紙やページ数で製本された見本)を丸めて片手で持って見せた。やわらかな紙だからこそ、分厚いのに丸くしなったその様子に、この一冊への親近感もわいてくる。
『今日はいい旅でした』と、撮影を終えた
8ヵ月にわたる撮影の日々を操上さんはこう振り返る。
「旅をしていたような気がします。どこまで行けるのか、どこまで高みに登れるのか、それがセッションの醍醐味です。一人きりでは遠くへはいけません。綾野さんがこっちに反応して、向かってくる、そしてスパークして、二人で遠くへ飛んでいく。
撮影時間そのものは短いですが、とても遠くへ行けることもある。『今日はいい旅でした』って撮影を終えるんです」(操上さん)
綾野さんの存在感、匂い立つような色気を写し出した本作、お互いを信頼して一つのものを作る操上さんと綾野さんのその絆は、私たちから見ればとてもロマンチックなものにも感じてしまう。
「もっと切実な、これは男同士の決闘なんですよ」(操上さん)
「でももしかしたら、男同士の決闘って、女性から見たらロマンチックなものなのかもしれないですね」(綾野さん)
二人の闘い、そして絆を収めた本作は、事前に予約した人にのみに届く完全受注生産。ぜひ2人の記録を、目撃してほしい。
『Portrait(ポートレート)』
定価 ¥9,900(税込)
綾野剛、操上和美 著/幻冬舎
※完全受注生産商品です。
※予約受付中〈予約締め切り:11月7日(月)〉
発売日:2023年1月26日(木)
【オリジナル特典など】
通常特典:すべての購入者様に特製ポストカードをプレゼント(撮影風景動画 QR コード付き)。
ネット書店および全国書店にて絶賛予約受付中
Amazonでの購入はこちら ※通常特典のみ
楽天ブックスでの購入はこちら ※通常特典のみ
限定特典:綾野剛モバイル(会員限定)よりご購入いただいた方/直筆サイン(綾野剛)をお付けいたします。
イベント:オンライントークショー開催予定(綾野剛・操上和美出演)
※指定の書店サイトよりご購入いただいた方から、抽選で300名(予定)をご招待。詳細は後日お知らせいたします。
※特典は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。
綾野剛(あやのごう)
1982年岐阜県生まれ。2003年ドラマ『仮面ライダー555』で俳優デビュー。’11年NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』で一躍注目を集める。その後もドラマ『最高の離婚』『八重の桜』『空飛ぶ広報室』と出演作が立て続けに話題となり、第22回橋田賞新人賞を受賞。また映画『横道世之介』『夏の終り』で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。’14年には主演映画『そこのみにて光輝く』で、第88回キネマ旬報ベスト・テン、第36回ヨコハマ映画祭、第69回毎日映画コンクール、第24回日本映画批評家大賞、第29回高崎映画祭などの主演男優賞を受賞した。2022年に主演を務めたTBS日曜劇場『オールドルーキー』も話題に。
操上和美(くりがみかずみ)
1936年北海道富良野生まれ。主な写真集に『ALTERNATES』『泳ぐ人』『陽と骨』『KAZUMI KURIGAMI PHOTOGRAPHS-CRUSH』『POSSESSION 首藤康之』『NORTHERN』『Diary 1970-2005』『陽と骨Ⅱ』『PORTRAIT』『SELF PORTRAIT』『DEDICATED』、そして2020年、ロバート・フランクに捧げた『April』など。主な個展に「KAZUMI KURIGAMI PHOTOGRAPHS-CRUSH」(原美術館)、「操上和美 時のポートレイト ノスタルジックな存在になりかけた時間。」(東京都写真美術館)、「PORTRAIT」(Gallery 916)、「Lonesome Day Blues」(キヤノンギャラリーS)、「April」など。
衣装協力
DUELLUM 03-5447-2100
※2022年10月1日配信のこちらの記事に関して、一部内容に誤りがありました。現在修正済みですが、LINE NEWSに配信された記事には誤った内容が記載されています。「2011年の春から冬にかけて8ヵ月に及ぶセッションが終わり、500ページを超える作品集『Portrait』がついに完成する」という箇所ですが、2011年ではなく、正しくは「2021年」でした。読者、関係者の皆様にはご迷惑をお掛けし申し訳ございません。お詫びして、訂正いたします。
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