芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で世の女たちの生き様を観察します。
第47回 性格の良い女
性格の良し悪しってどうやって決まるのだろう。一体何をもって人は他人を判断するのだろうか。
人の悪口を言うか否か?
打算的かどうか?
相談に乗るのがうまいか下手か?
ゴシップに胸を躍らせずにいられるかどうか?
「性格が悪い女」と頭のなかに検索をかけて、何人か思い浮かべる友人がいるけれど、「悪」と断定するのは難しい。
だっていつも悪口を言っているあの人はわたしには味方をしてくれるし、損得勘定で動くあいつもたまに誰も見ていないところで優しい言葉をかけてくれたりする。クソバイスをしてくるあの子は美味しい料理を作ってくれる。
自分自身だってアイドルを見るたび「この子はたぶん自然、この子は鼻」と、整形しているかどうかにしか興味をもてないときもあれば、パン屋さんのレジでお婆さんに順番を譲ることだってある。
性格が悪い自分に落ち込んだかと思えば、こんなにいいやつであたいは芸能界でやってけるのかと不安になるときもある。
そんなブレブレの私だが「性格がいい」と言い切れる人物に関しては割とすぐに思いつく。それも複数人だ。
彼女たちは悪口もたまには言うし、ズルいところもある。ゴシップもノリノリで話すのに、周りから「いいやつ」と言われる。そういう人たちの共通点をひとつだけ見つけた。
それは常に「機嫌」がいいということだ。
笑い上戸で穏やかな人。
ムスッとしたり、カリカリしたりして周りに気を遣わせているところを見たことがない。楽観主義でちょっとくらい嫌なことがあっても拗ねたりしないで笑顔で流すことができる。
結局他人が判断する性格の良し悪しって、そのときの機嫌がどうだったかでしかないのかもしれない。
だってどんな卑屈な女だって、友人から誕生日にボディスクラブをもらったら「この香り好き」と顔を緩めるだろうし、普段はケチな女だって宝くじが当たればいつか自分が損した会計のことなんてすぐに忘れるのだから。
いまから性格を無理して直すより、機嫌がいい時間を長くする方がよっぽど「いいやつ」になるのに手っ取り早い。
とりあえずここ二日のわたしは少しイライラしがちだった。この記事の締め切りを過ぎているのに何も書けていなかったからだ。終盤に差し掛かった今すっかり気を良くしながら、期限の方もしっかり守っていかなければと思う今日この頃なのである。
最後に
機嫌のいい女とかけまして
プロのアイドルと解きます。
その心はどちらも
なにかにつけていちいち不安を抱かない(ファンを抱かない)でしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。
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