紺野ぶるまさん、現在妊娠中です! 撮影時は8ヵ月の大きなお腹。明るい下ネタと、どんなお題も解く「謎かけ」で話題になった紺野さんのこれまでと、これからへの決意を語っていただきました。
産むか、仕事か。ふたつにひとつなんておかしい。両方手に入れたっていい
この春に出産を控える紺野ぶるまさん。舞台での鋭い表情とはうって変わって穏やかな表情で話します。
「出産は、シンプルにとても楽しみです。元気に生まれてきてほしいですね」
その表情は、もうすっかり母。際どいワードをカラッと言い切るあの下ネタは、母になったらもう封印?とたずねるとはっきりと否定してくれました。
「結婚したときも、下ネタやめちゃうの?ってよく聞かれましたけど、結婚したって、出産したって、まったく変える気はないです。がんがん下ネタで解いていきますよ」
どんな仕事でも少なからず、結婚、出産はキャリアに影響を与えるもの。芸人の世界も例外ではありません。小さいころと20代のときに卵巣の手術をしたことがあるぶるまさんは、結婚前の早い時期から、“産むのかどうか”を意識し、悩んでいたそう。
「“早いうちに産む”ということは考えていましたが、一方で芸人の生活も大事で、ライヴにもバリバリ出て、ずっと面白くありたい、そのためには子供をあきらめた方がいいのかと思ったことも。仕事をするのか、産むのか、ふたつにひとつだと思い込んでいました」
考えていくなかで、ひとつの大きな答えにたどり着いた。
「考えるほどになんで女ばっかりって、だんだんムカついてきて。子供ができても変わらず仕事はしたい。ママタレになるのはピンとこないし、ネタを書いたり舞台にもたくさん立っていたい。子育てをしながらそういうスタイルでいる女芸人さんは少ないけど、だったら私が最初にそういう存在になればいい。それだけじゃんって。なんで産むか仕事か、ふたつにひとつだと頑なに思っていたんだろうって。両方手に入れたいなら頑張ればいいんだって。現実のものにするためにもっと芸を磨かなければと思っています」
2019年に結婚したパートナーとお付き合いを始めた当初、彼は紺野さんが芸人であることを知らなかったそう。
「最初に芸人だと言うと、『俺も結構面白い』とか言ってくる男性は多くて面倒なので、言わないでいました。もちろんあとからバレましたし、そのとき若干彼は芸人であることをイジってきたので首根っこを掴んで本気で怒りました。それ以降はイジりもないし、応援してくれています。それだけ一生懸命やっているんだって伝わったんでしょうね。最初にイニシアチブをとるのはすごく大事です!」
理想の母親像を聞くと、自身のお母さんのことを教えてくれました。
「私の母は、ザ・お母さん。子供のために生活が回っている人でした。だから母親ってそういうものなのかと思ってしまって、ハードルが高かったけど、別にそこに縛られなくてもいいのかなと。夫にも今から、“産むのは私の仕事だけど、生まれてからはあなたの仕事でもあるんだからね”と言ってあるんです。なんでもかんでも背追い込まなくていいと思っています。まぁ産まれたらいろいろ考えも変わるのかもしれないですけどね。それも含めて楽しみです。私は高校を中退したとき、未来が見えなくてすごく不安だったんです。もし母にも見放されていたら今ごろ間違った方向に行ってしまったかもしれない。でもどんな時も私をあきらめないでいてくれた。母がいたから、軌道修正できたんです。まともに生きないとって。常に心の支えでもありました。子供にとって私も、そういう存在でいられるようにありたいです」
紺野ぶるまヒストリー
改めて、ぶるまさんってどんな人? そのキャリアを年表にまとめてみました。
1986年 東京都に生まれる
2003年頃 高校を中退/芸能界に憧れる
中退したあと、通信制で高等学校卒業程度認定試験に合格。「当時は今さら勉強したいなんて言えない、そんな気持ちだったけど実はすごく学校に憧れていたんです」
2007年 くまだまさしさんに憧れお笑いを目指す
人前に立つことを仕事にしたい、芸能人になりたい!と最初はモデルを目指していたぶるまさん。けれど、撮影現場やレッスンで周りの人を笑わせることの方が楽しいと気が付きました。そんなとき、くまだまさしさんと鈴木Q太郎さんの「ブルマ」を使ったネタに感銘をうけて「こんな大人になりたい!」と芸人を目指すことに。
2013年 ねづっちさんの謎かけライヴにて「大人の謎かけ」が誕生
「謎かけって、短い時間でがーっと考えないといけないから、とにかく脳に負担がかかるんですよ。人って、思い出せないことを無理やり思い出そうとすると、脳の細胞が死んでいくって話を聞いたことがあって、それと同じかも。その反動で、普段は全然頭が動かなくなってきてしまいました。もうパンチドランカーみたいな感じです。実は謎かけで、命を削ってます」
2015年 「伊集院光のてれび」をきっかけに「大人の謎かけ」の人気に火がつく
2016年 初の単独ライヴ
2017年 R-1ぐらんぷり/THE W/ABCお笑いグランプリ 決勝進出
R-1は翌年も、THE Wは’18年、’19年ともに決勝進出。「下ネタは、とにかく上品にカラッと言う! 恥ずかしがっていたら、相手に想像させて本当にエロくなってしまうから。『言ってることの意味わかってるの?』くらい、大きい声で、カラッと!」
2019年 結婚
「夫は普通の会社員。一緒にショッピングモールへ行って一瞬目を離したら、溶け込みすぎて、まじでどこにいるかわからない。そのくらい、フツーです。子供には、彼みたいに穏やかな人になってほしい」
2020年 初の著書『下ネタ論』上梓
2021年 エッセイ『「中退女子」の生き方~腐った蜜柑が芸人になった話~』上梓
2022年春 第1子出産予定/初の小説『特等席とトマトと満月と』上梓予定
執筆2年半、渾身の一作を発表予定。「書いた小説を編集者に送るのは、裸を見られるくらい恥ずかしいことでした。何度も何度も直して2年半くらいかかりましたね。女芸人の物語です。今の私に書けるのは、このテーマしかないですから」
紺野ぶるま(こんのぶるま)
1986年9月30日生まれ、東京都出身。すべて下ネタで解く謎かけで人気に。著書に『下ネタ論』(竹書房)、『「中退女子」の生き方~腐った蜜柑が芸人になった話~』(廣済堂出版)など。4月に初の小説『特等席とトマトと満月と』(幻冬舎)を発行予定。