人生の分岐点で迷ったときや、立ち止まるたびに勇気をくれる・・・いつだって初心に返ることができる言葉の魔法があるだけで、人生は豊かになるもの。
芸能界でも屈指の本好き、文字好きと評判の佐久間由衣さん。言葉に親しむようになったきっかけから、太宰治が愛読書になるまで、そして佐久間さんなりの言葉との付き合い方を聞いてみました!
きっかけは金子みすゞさんの詩集
おぼろげな記憶を辿りつつ語ってくれた、金子みすゞさんの詩集『私と小鳥と鈴と』の話。それは、佐久間さんの祖母の家の本棚にあったものだそう。
「装丁は水色。本棚にしまうとちょっとはみ出しちゃうような正方形っぽいカタチ。祖母にすすめられたわけでもなく、たまたま手にとった一冊でした。それが、物心がついてからでいうと、私にとって一番最初の“言葉との出合い”でもあります」
みんなちがって、みんないい。
当時の佐久間さんは、みんなが好きなもの、流行っているものを純粋にいいと思えないことがあって、そんな自分が「間違っているのかな? 変なのかな?」と漠然とした不安を抱えていたといいます。
「“みんなちがって、みんないい”の一文を読んだとき、自分を肯定してもらえたような安心感をもらえたんです。あの温かな感覚は今でも忘れられません」
活字にのめり込む10代の日々
金子みすゞさんの詩集によって“読む楽しさ”を教えてもらい、言葉の世界、物語の世界の心地よさに夢中になった佐久間さん。
「雷に打たれたような衝撃を受けたのが太宰治の作品です。『正義と微笑』の文中に、“人間は、十六歳と二十歳までの間にその人格がつくられる”とあり、当時18歳の私は、あと2年しかないと本気で焦るほど、掴まれて逃がしてもらえない怖さにも似た感覚を味わいました。
小説は単に明るくて幸せなものだけではないと新たな価値観を突きつけられ、本にのめり込むきっかけになりましたね。現代作家では中村文則さんが大好き。文章にうっとりしています」
女優として、セリフという言葉に向き合う
「セリフにどんな感情とお芝居をのせるのかは、役者の想像力によるもの。とある先輩に『台本は小説じゃないから』と教えられ、余白を想像する楽しさと難しさに今も翻弄されています」
12月に初舞台『てにあまる』に挑戦。演出も手がける柄本明さん、藤原竜也さん、高杉真宙さんという実力派キャストと、4人だけで繰り広げる濃密な会話劇だそう。“どのような人間関係も、それぞれがオリジナルでしかない”という真理をあぶりだす、人間の魂と魂のぶつかり合いを表現します。
「生々しさを伴ったセリフ以上のものが飛び交う舞台になる予感がしていて、すでにぞくぞくしています。私の初舞台となりますが、未熟者なりに先輩方からたくさん吸収して、未知の世界に飛び込みます!」
『てにあまる』で発する佐久間さんの言葉、その表情に、ぜひ注目したいですね!
Sky presents『てにあまる』
出演/藤原竜也、高杉真宙、佐久間由衣、柄本明
脚本/松井周
演出/柄本明
https://horipro-stage.jp/stage/teniamaru2020/
〈東京公演〉
2020年12月19日(土)~2021年1月9日(土)
※12月28日~1月3日休み
東京芸術劇場プレイハウス
〈鳥栖公演〉
2021年1月16日(土)・17日(日)
鳥栖市民文化会館大ホール
〈大阪公演〉
2021年1月19日(火)~24日(日)
新歌舞伎座
〈愛知公演〉
2021年1月26日(火)・27日(水)
刈谷市総合文化センター大ホール
〈三島公演〉
2021年1月30日(土)・31日(日)
三島市民文化会館大ホール
佐久間由衣(さくまゆい)
1995年3月10日生まれ、神奈川県出身。WOWOWオリジナルドラマ「殺意の道程」に出演中。12月19日(土)より東京芸術劇場プレイハウス(ほか地方公演あり)にて初舞台Sky presents『てにあまる』がスタート。年明け2021年は1月3日(日)、4日(月)放送のスペシャルドラマ「教場Ⅱ」(フジテレビ系)に出演する。待機作に主演映画『君は永遠にそいつらより若い』が'21年公開予定。