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TIMELESSPERSON

2020.08.05

大切に育んだ運命のプラトニックラブ!のはずが・・・?

“大人のフリ”して放置(我慢したり、見て見ぬふりしたり)せず、煩わしい人間関係をぶった斬り、好きな人たちとだけ生きていく——。そんな“自分基準”を掲げて、人生を楽しく、生きやすくしていきませんか? 脚本家 岸本鮎佳さんの連載「私、幸せになるんで。はい、サヨウナラ」。あなたの人間関係やモノ付き合いの整理整頓&取捨選択に際し、ぜひご参考に!

vol.07「永遠に流され続ける男~嗚呼、川の流れのように~」

岸本鮎佳

Licensed by Getty Images

友情から始まる恋愛があり派かなし派か、はっきりと分かれると思う。

実際、「友達から恋愛に発展した」というカップルは、この世に決して少なくない。

でも私は、圧倒的に「なし派」だった。

出会った瞬間に、その人のことをオスだと思えなければ、この先もオスだと思うことはない。

でも私は過去に一度だけ、「友達から恋愛に発展した」という経験がある。
結論から言うと、正直思い出したくもない恋愛だ。

でももし、あの恋愛がうまくいっていたら・・・想像するだけで恐ろしい『流され続ける男』の話・・・。

* * *

この男・・・今までの男と全然違うわ!!! これが、俗に言うビビビという感覚ね!!!

私がその感覚を感じたのは、もともとただの友達の男だった。

・性格的に合う
・趣味も合う
・食の趣味が合う
・笑いのツボも合う
・嫌いな人も合う
・お互いを性的対象に見れる
・お互い仕事の話も出来て、高め合える

こんなに「合う」人と出会えたならば、当然のことながら付き合う・・・いや、もう結婚するしかないでしょう!というか、これぞ運命!でしょ!!!と。

きっと彼も同じように感じてたというのは、私の単なる思い込みではない。

彼は、もともとよく飲みに行く仲間内の一人だった。

水族館とか美術館とか、デートでいくような場所に週に1回は必ず行ってたし、食事に行けば話が止まらなくて朝まで飲んだし、連絡は毎日取っていた。

それに、身体の関係は一切なかった。(ここ、ポイント)

それは、きっとお互いに慎重になっているからだし、もともと友人だし、勢いで、何かが起きて気まずい関係になりたくないからだ、という確信が私のなかにあった。

イコールそれは大事にされている証拠だし? 硬派だし?

なにより私は、そんな所謂「プラトニックな関係」が気に入っていた。
俗に言う「友達以上恋人未満の関係」とは違う。

あくまで、「お互いに好意があるけれども、まだ身体の関係も持っていない(ここ、ポイント)関係」だということ。

でも、それはあくまでいずれ「付き合うことになる」というクライマックスを迎える、というのが大前提だった。

私は、毎週彼に告白されるのを待った。

でも、その「プラトニックな関係」は変わらなかった。

それが半年続いたある日、しびれを切らした私は彼に聞いてみた。

私「私のこと、どう思ってる?」

こんなベタすぎるセリフをハッキリと・・・。

すると・・・

彼「大好きだよ」

ほら!!!

ほら!!! 当たった!!! やっぱ好きなんじゃん? 私のこと!

彼「・・・でも、今の彼女と結婚しなきゃいけないからさ・・・」

私「・・・え? ごめんなさい(聞こえなかった)」

彼「こんなこと言ったらあれなんだけどさ、正直結婚していいのか、迷ってるんだよね・・・」

私「(え? ごめんなさい、そうじゃなくてー)彼女いたんだ・・・」

彼「・・・うん、ごめんなんか・・・言いづらくて・・・」

私「そっか・・・」

正直、この時点で私はもうすでに頭が恋愛に侵されていたので、彼女がいるいないはどうでも良かった。

というか、当たり前に彼女と別れるだろうと高を括っていた。

だって、そうじゃなきゃおかしいもの!
確実に恋愛対象だとお互いに感じていながらも、この半年間会い続けていたことへの理屈が通らない。

ただの浮気心だったら、さっさとセックスするはずだし、何も興味がないただの友達であれば、週一では会わないし、毎日LINEもしないじゃない! え!? 何か、間違ってる!?

そんな、すがるような気持ちで、私は彼を説得した。というか、私と付き合った方が、どれほど豊かなことなのか、数時間安い居酒屋のハイボールを煽りながら彼に訴え続けた。

その結果・・・

彼「・・・わかった。明日、彼女と別れ話してくる・・・だから、信じて待ってて欲しい」

わかればいいのよ・・・

まるで、戦地に送り出すような気持ちで、私は彼の背中を押した。

次の日の夜・・・彼から電話がかかってきた。

彼「・・・話したよ」

私「うん・・・で?」

彼「やっぱり、もう一回やり直してみることにした・・・」

私「・・・は?」

彼「8時間話し合ったんだ・・・そうしたら、付き合ってから初めてお互いの本音を言い合えたっていうか・・・」

私「・・・」

彼「彼女、すごく悩んでたみたいでさ」

私「・・・」

彼「俺も逃げてたっていうか・・・」

その後はずっと彼女の話。

いや、逃げたとかそういう問題じゃない。
本音を言い合えた? そんな事じゃなくて・・・

お前は・・・流されたんだよ?

私に流され、彼女に流され、彼の意思はどこにもない。
結局自分のことを信用していない。

そんな流され続ける男と付き合っても、いいことなど一つもないだろう。

ご愁傷さま。

神様、ありがとう。こんな男と付き合ってたら、人生が台無しになるところだった。
お前のような、優柔不断野郎は、一生流され続けるが良い。

流され続ける男・・・はい、サヨウナラ・・・。

岸本鮎佳の【私、幸せになるんで。はい、サヨウナラ】をもっと読む。

TEXT=岸本鮎佳

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