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TIMELESSPERSON

2020.03.10

「年下男子の落とし穴」にご注意ください

“大人のフリ”して放置(我慢したり、見て見ぬふりしたり)せず、煩わしい人間関係をぶった斬り、好きな人たちとだけ生きていく——。そんな“自分基準”を掲げて、人生を楽しく、生きやすくしていきませんか?
脚本家 岸本鮎佳さんの連載「私、幸せになるんで。はい、サヨウナラ」。あなたの人間関係やモノ付き合いの整理整頓&取捨選択に際し、ぜひご参考に!(編集部)

vol.02「ワガママ年下男子」

岸本鮎佳

(c)RossHelen/Shutterstock.com

ここ数年、「年下男子」が流行っている。

35歳である私の同世代の友人たちも、当たり前のように、年下男子と付き合っていたり、結婚したりしている。
しかも、それは1歳、2歳下とかではなく、7歳、8歳、10歳下というのが、当たり前だったりする。

何故、こんなにも年下男子ブームが巻き起こっているのだろうか。
年下男子は、「可愛い」「母性本能がくすぐられる」そんなところだろう。

実際に仕事でもプライベートでも35歳の私は、年下男子と接することが多くなってきた。

ただ、そんな「年下男子」にも落とし穴がある。

ただ「可愛い」だけではない。

男性のワガママに女性は弱い。

それは、我々女性が少なからず、「母性本能」を持ち合わせているからだろう。

昔付き合っていた年下男子は、顔が可愛くて、
素直でまっすぐ、育ちの良さそうな立ち振る舞いで、
絵に描いたような「可愛い年下男子」。

私は、彼の脱ぎっぱなしの靴下を回収したり、
彼が大好きなカレーの研究をしたり、
とにかく年下の可愛い彼に尽くしていた。

でも、彼も炊き込みご飯を作ってくれたり、
誕生日にサプライズをしてくれたり、
私が苦手なお金の計算をしてくれたり、
彼なりに尽くしてくれていた。

だから、彼のちょっとしたワガママは、可愛いワガママ。

・・・だと思っていた。

そんな感じで付き合って二年後・・・同棲をしようという話になった。

ついに! ついに! 私も、完全なるリア充になるのね! 神様、まじありがとうございます!!

彼の靴下を拾い続けたかいがありました!!!

という感じで、完全に一人盛り上がる私。

彼と一緒に不動産屋に行った時も、
私の「私、充実してる女です」感がもろに出ていたことでしょう。

家賃、広さ、希望条件を彼と話し合い、
二人とも求めているものは、たいして変わらず、
不動産屋さんにもしっかりと、条件を伝えました。

・・・が、1軒目の不動産屋は、なかなか希望に合った物件を出してくれず、
2軒目・・・やはり、いまいち希望の条件の物件を出してくれず・・・。

時間はお昼すぎ。

ランチを食べていた時、

私 「次はさ、ここの不動産屋さん、評判いいから、ここ行ってみようよ!」

彼 「え?あぁ・・・」

私 「ここから近いし!次こそいいの出してくれるといいね!」

彼 「・・・うーん」

彼のテンションは明らかに下がっていました。

でも、私たちの予定が合うのは、その日しかなくて、なんとか今日のうちに内見も出来たらいいなと思っていたのです。

 

時間はまだ昼過ぎ。

何とか、彼のテンションを上げさせないと、まずい!と思い、テンションが上がるように説得を試みました。

 

が・・・

彼 「俺、もう疲れちゃった・・・」

ん?

彼 「だって、こんなに回っても、ないってことは、ないってことじゃん?」

 

まだ、二軒しか行ってないぞ?

 

彼 「・・・もう、帰ろう? 眠い・・・」

 

は?

え、ごめんなさい、ちょっと待ってください。

まだ2時前ですよ? お客様。

まだ2軒しか回ってませんよ? お客様

しかも、その2軒とも私が調べましたよね? お客様

え、眠いって・・・

散々寝てただろうがぁ!!!!

おきゃくさまぁあああああ!!!!!

と、度肝を抜かれた訳ですが、勿論諦めきれない私は必死で説得に回ります。

私 「うん、でもさ、まだ二軒しか回ってないしさ?」

彼 「・・・・・・」

私 「今日ある程度見ておかないと、もっと先になっちゃうしさ?」

彼 「・・・・・・」

私 「不動産屋さんって、相性とかあるみたいだから、今までのところはさ、相性悪かったのかもしれないしさ?」

彼 「・・・・・・」

何を言っても、響かない。

さすがの私も、もう限界。

私 「え? じゃ、どうしたいの!?」

半ギレ気味に言った私の一言に、彼が返した一言・・・

彼 「俺・・・帰るわ・・・」

は?

そのまま席を立ち、帰っていった彼。

茫然と立ち尽くすアラサー独身女。

 

何でこうなった?
私、何でキレられてんの?

何も状況が理解できないまま、涙でグーグルマップが滲んでもなお、私は3軒目の不動産屋に一人でたどり着きました。

ねぇ、不動産屋さん、私は彼に何をしたというのでしょうか?
いい物件が見つからないのは、私の責任でしょうか?

はい、ちがいま~す!!!

結論として、私は彼を甘やかしすぎたのです。

「年下だから」という理由だけで、何でも許してしまった。

これが、30歳を越えた男性だったら、どうだろう?
きっと、「おい、てめぇ、何甘えたこと言ってんだ?」と、ブチギレ、引きずってでも不動産屋に連れて行くだろう。

「年下男子」=「可愛い」=「どんなワガママでも許せちゃう」
ではないのだ。

それからほどなくして、その彼とはお別れした。

可愛い顔の年下だろうが、何だろうが、自分の住む場所も決められない男を許す器量は、私にはないから。

いくら可愛くても「年下男子」という言葉に惑わされてはいけない。

そう心に誓った。

サヨウナラ、サヨウナラ。
「年下男子」という可愛い魔法にかかってはいけない。

岸本鮎佳の【私、幸せになるんで。はい、サヨウナラ】をもっと読む。

TEXT=岸本鮎佳

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