女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で、世の女たちの生き様を観察します。
第15回 ためらう女、ためらわない女
気になる異性が出来た時、
アプローチの仕方が悩ましいところである。
LINEでの正解は何か?
こんなスタンプを使ったら気があることがバレてしまうのではないか。
付き合う前のデートでスカートをはいたら、気合を入れているとあからさまだろうか?
胸元はどれくらい開いたものを着ようか?
と、どのタイミングでどの程度、
女を露呈するべきか試行錯誤してる女子たちを颯爽と通り過ぎ、
「クッキー焼いてきたから食べてー!」
と威風堂々、女らしさを広げられる猛者がこの世には存在する。
名もなきキャラクターの小袋に入った2枚程度のクッキーは男子たちの脳裏にしっかりと焼き付けられ(クッキーだけに)、
女子たちからは
「女子力〜!」と(その場では)称される。
「暇だからいっぱい焼いてみた(笑)」
と、YouTuberよりも軽いノリで嫌味なく返してみせるところまでがクッキーの力を増大させる。
「まずかったらどうしよう」
「いやらしいと思われたらどうしよう」
なんて、自分がどう思われるかを考えると躊躇(ちゅうちょ)してしまいそうなものだが、
「何をしたら相手が喜ぶか」を優先して考えられる彼女たちは恋愛に置いて圧倒的に無敵だ。
実際にこういう女が男に困ってる姿を想像できないし、見たことがない。
‟釣った魚に餌をやらない”
なんていうことわざはよく耳にするが、
先に餌をやり、食いついてきたなかから選んでいくのが、彼女たちの‟置き網漁”スタイル。
もちろん網に掛かったすべてが食える魚とはいかないが、網の中でとりあえず泳がせておけば、稚魚もいつか出世していたりする。
彼女たちの目利きがいいわけではなく、泳がすことに引け目を感じない、ある意味その図太さが大漁に繋(つな)がっているのだ。
それでいて口を開けば、悩ましそうに、
「自分から人を好きになったことがない」とほざきだすから、一本釣り(決めた男性にだけアプローチする)女たちから、時折ブーイングを買うのも無理もないのである。
最後に
男子とかけまして
音楽の授業と解きます。
その心はどちらも
配られた菓子(歌詞)が記憶に残るでしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。