女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で、世の女たちの生き様を観察します。
第11回 家庭的に見せたい女
最近、友人が好きな男性から「家庭的」と思われたいがためにインスタに料理の写真を載せている。
投稿を見た彼の「食べてみたい」を待っているのだ。
一体どんな料理を載せたら、いいのか。
これを機に、よく問題になる「得意料理は?」のベストアンサーもまじめに考えたい。
肉じゃがやベタなのもいいけど、他とは差をつけたい。
伝家の宝刀「冷蔵庫にあるもので」は最高だが、みんなが雑に言いすぎて昨今は少し嘘くさい。
ならばデザート系?とも思うが、
美味しそうなケーキをみて男子が「わ〜、お腹減ったな〜!」となるのはサンリオの世界だけな気がする。
本当に家庭的な女性は、一体なんと答えるのだろうか。
結婚生活が順調な友人、常連さんから愛されてる居酒屋のママさん、仕事も家庭も両立してる女優さん、家でのホームパーティーが日課の先輩etc…
彼女たちの食卓を思い出し、ある共通した一品に辿り着いた。
それは。。。
“きゃらぶき”だ。
いい女は春終わりになるとふきを茶色く煮て、タッパーに詰める。
ランチョンマットやお洒落な食器なんてむしろない方がいい。
春夏秋冬、山菜ならなんでもいい。
わらび、ゼンマイ、あけびという、
どこからきてどこに帰っていくのかわからない草を何者からか手に入れ、ちゃんと食えるものにするというポテンシャルの高さ。
「そうまでしてそれ食べたい?」
なんて言わせないオーラを放っている、青いフタのタッパー。
それを「#今年のきゃらぶき」と載せた日には、
まさに「あるものでパパッと作れる」姿を勝手に想像してもらえるのである。
「カレーなんて料理のうちに入らないよ(笑)」とか言ってくれそうに思えるのだ。
そもそも本当に家庭的な女がインスタをやってるかは謎であるが。
最後に
山菜とかけまして
インスタ映えと解きます。
その心は
どちらも、わざわざ採り(撮り)に行くでしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。