女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で、世の女たちの生き様を観察します。
第3回 「ちゃんとした彼氏」ができない女
最近ちらほら、同世代の女性からこんな話を聞く。
いつからかふたりで会っている人がいる、
カップルのようなことももちろんしている、
ただ、相手から「付き合おう」のひと言はいまだにない。
誰かに「どんな関係?」と聞かれたら、
「・・・」(答えられない関係)
あえて言い表すなら「彼氏みたいな人」。
相手が自分のこと、嫌ってはいないのはわかる。
ただ自分からは「好きです、付き合って下さい」のひと言がどうしても言えない。
意を決して「わたしのこと、どう思ってるの?」くらいなら聞ける。
しかしそんなジャブは「そんなの言わなくてもわかるでしょ」とするりと交わされる。
それはいい方に考えれば「言葉なんて必要ないくらいわかり合えている関係」とも受け取れるけど、
真実は「付き合うに足りない、なんて言わせないでよ」という隠れアッパーだったりする(注:アッパーはボクシングの攻撃法 アッパーカットの略)。
女は、本当は気付いているけど気付かないフリをしている・・・男にとってこんな好都合なことはないと思う。
例えるなら、男は小さな会社の社長。
優秀なパートナーは欲しいけど、社員(彼女)を採るのは少し考えてしまう。
そこに現れた社員同然もしくはそれ以上のことをしてくれる、アルバイト(彼女みたいな人)。
どこか引け目を感じ、
「社員にしてくれ」と言いづらそうにしている。
会社にとってこんな好都合なことはない。社員にしますよ〜とほのめかし、切りたくなったらそれほど心痛めず切られる関係性を保っている。
普通に考えて、そんな会社、今すぐやめたほうがいいのである。
ブラックなのである。
とはいえ実際には、アルバイトから社員になる人もたくさんいる。
わたしは社員になりたいとはっきりと意思を伝えるか、他の会社からも声がかかっているとほのめかすか。
そうでもしないと社長(男)は動かない。
逆に社員になってしまえば、後に立場逆転、アルバイトが社長になる(女が男を尻に引く)ケースだってあるかもしれない。
勇気のいることだけれど、
それをしないと始まらない。
そして始まらないから、いつまでたっても終われない。
最後に
彼氏みたいな人とかけまして
手元と解きます。
その心はどちらも
詰めないと(爪ないと)いけないでしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。