女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で、世の女たちの生き様を観察します。
第1回 持ち帰られる女
たまに合コンに誘ってもらうことがある。
その日は野球選手たちとの合コン。女性陣は、グラビアアイドルやらモデルやら、みんなとにかく可愛い(スポーツ選手との合コンは初めてで少々ときめいたが、芸人の私なんぞとは終始誰も目を合わせてくれなかった)。
会話の流れで、わたしが芸人で「大人のなぞかけ」(どんなお題でもすべて男性のあれ・・・ほらあれよ、あれ・・・バットで! なぞかけをするの!)をやっているという話になった。
するとひとりの選手が「俺もやりたい」というので、「ライオン」(※某球団とは一切関係ありません)をお題に対戦することに。
わたしは「ライオンとかけまして、男性のバッドと解きます。その心はどちらもせいしをかけて戦うでしょう」と、まさにふたつの意味でシゴクのなぞかけで攻めにいった。
するとその選手は「俺の方がうまいよ、ライオンとかけまして、男性のバッドと解きます。その心はどちらも・・・ガオーでしょう」と返してくる。
わたし「ああ・・・野球に才能を全部持ってかれた人なんだなあ」
女子たち「わ! 〇〇くんのが全然うま〜い」「すごい面白〜い」
・・・ふーん、なるほど、みんなこの人が目当てなのね。
彼の両隣は、巨乳の女ふたりが占拠している。その選手の一挙一動に大げさに反応して健気をアピールする女、座っている間ずっとスカートからパンツが丸見えの女、あなたになんて興味ありませんという態度で周りと差をつけようとする女・・・それぞれのプレゼンが同時進行で行われていた。
結果、あっさりとパンツの女が持ち帰られていった。
選抜漏れした女たちは、もらったタクシー代一万円を片手に、始発までつるとんたんで過ごす。
「なにあの女、簡単にお持ち帰りされて」
「どうせポイ捨てされるよ」
延々愚痴り倒しながら、思った。パンツと、つるとんたんにいる女たちの決定的な違いは「きちんと趣旨を理解している」というところだと思う。スポーツ選手は夜の西麻布で彼女や嫁を探しているわけではない。その日の即戦力を探していたのである。彼を相手にいくら健気アピールをしても、例えていうなら家系ラーメンを食べにきた男に懐石料理を出すようなもの。まったく喜ばれない。明日のことなんて考えてないパンツのほうが、よっぽど彼らのボールをジャストミートしていたのである。すごい女だなあ・・・とはいえ誰も彼女を法では裁けない、と自分のなかで雑に納得しておく。
最後に、
合コンとかけまして、
味のしないうどんと解きます。
その心は、
どちらもだし(出汁)抜かれることもあるでしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。