肌はもちろんのこと、世の中のことも本気で考えるコスメブランドが増えている。それは真に美しく生きるための「クリーンビューティ」というあり方。積極的に選ぼう。「買い物は投票」と言うように、私たちの選択こそが未来を決めるから。
ボタニカノンとは?
「家庭料理を作るように、化粧品も手作りすればいい」――化粧品メーカーにとっては不利に思えるそんな価値観を、むしろ積極的に広めようとしているブランドがある。
鹿児島県南大隅町にある大自然に囲まれた工場で、鹿児島県産の原料を積極的に用いて製造する“地産”ブランド、ボタニカノン。コンセプトは「食品のような化粧品」。
代表の黒木靖之氏はもともとコスメの輸入代理業で働き、ヨーロッパに根付くナチュラルコスメ文化に触れてきた人物。娘の肌疾患に悩まされたことをきっかけに、自らアロマオイルを抽出し石けんを作ることからスタート。「石けんを作る過程で余る蒸留水を化粧品にできないか」という発想が化粧品作りの原点だ。
黒木氏によると、年齢を重ねても透明感のある肌を維持している人には共通点がある。それは「強い肌」を育んでいること。そこでボタニカノンでは、水分と油分のバランスをベストな状態に保つことで肌本来のターンオーバーを促進し、健康的な美肌を育むシンプルケアを提唱している。「手作り化粧品」を推奨するのはそのためだ。ワークショップを開催し、レシピを惜しみなく公開するなど、普及活動を続けている。商売上がったりでは?と尋ねると、「手作り化粧品が家庭料理だとしたら、我々の製品はちょっといい“街のレストラン”だから、いいんです」と潔い。
肌への優しさ:口に入れても安全な原料が“強い肌”を育む
「肌につけるものは、口に入れるものと同じように安全なものでなければならない」という信念のもと、原料となる素材の安全性を追求。天然由来成分100%、防腐剤やアルコール、合成界面活性剤などのケミカル類は一切不使用という徹底ぶりで、肌にやさしい化粧品、ヘア&ボディケア用品を展開している。
この「天然由来成分100%」が最重要ポイント。一般的に肌に優しいイメージのある「オーガニック」「ヴィーガン」は、いずれもケミカル0%を意味するわけではない。どんなにいい成分を配合していても、たった数%のケミカル成分が刺激になってしまうこともある――そんな考えのもと、ボタニカノンは「100%」にこだわる。
環境への優しさ:自然に還る石けんで、美しい海を守る
工場の目の前に広がるのは美しい海。そのため、ボタニカノンは海洋環境保護への意識も高い。特に大切にしているのが、生分解性の高い「カリ石けん素地」。地元桜島産ツバキ油を用いた植物油脂を厳選して作られたこの液体石けんが、シャンプー、ボディーソープ、食器洗い洗剤のベースとなっている。ちなみにコスメブランドであるにもかかわらず、食器洗い洗剤がラインナップにあるのは「石けんメーカーとして責任ある環境対策活動」という考えから。「タンカンマンダリン ディッシュソープ」は98.6%が自然に還るという。
さらには、工場で行う洗浄にも生分解性の高い洗剤を使用。海への排水汚染防止が徹底されている。
社会への優しさ:限りある資源をとことん活用
実はボタニカノンの工場は、廃校になった小学校をリノベーションして作られている。 また、本来ならば廃棄される規格外の農作物をコスメの原料として活用することにも積極的だ。看板商品のひとつ「ボタニカノン パッションフルーツローション」もそんな"アップサイクル化粧品”。原料となる南大隅町のパッションフルーツは、年間約15トン出荷されているが、大きさや見た目、品質などを理由に約10%が廃棄されている。それを近隣農家から買い取り、活用することで、農業廃棄物の削減と農家支援に一役買っている。
SDGsへの関心が高まる以前から、ごく自然な形で「限りある資源を活用する」道を選んできた――だからこそ、最近にわかに「サステナブルコスメ」として注目され始めたことに戸惑いもある、と黒木氏。
定番アイテム:自然の恵みたっぷりの化粧水
インドの伝統医学アーユルヴェーダで、最高位のハーブと称されるホーリーバジル。この化粧水には、南大隅町の契約農家が無農薬で栽培したホーリーバジルが使用されている。南大隅町は、ホーリーバジルの原産国として有名なインドの首都・ニューデリーと同緯度。インドと同じ植生の亜熱帯地方で育った南大隅町のバジルは、日本で一番パワーがあるに違いない。
ホーリーバジルは抗酸化作用が強く、シミやシワのケアにぴったり。
使い方のおすすめは、洗顔後「フェイスオイルEX」で顔をマッサージして肌を柔らかくしてから、「ホーリーバジル化粧水」をパッティングするメソッドだ。
肌への浸透がよくなり、みずみずしくハリのある柔らかな肌をより実感できるだろう。
ボタニカノン
https://botanicanon.com/
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