ヘア&メイクアップアーティスト小田切ヒロさんが、名作のヒロインをオマージュしたメイクルックを披露する不定期連載「MAKE YOU HEROINE」。今回のゲストは、モデル・女優の中村里砂さん。
「私はこう」と魅せている人は輝いている
BBという愛称で親しまれた、フランスを代表するパリ出身の女優、ブリジット・バルドー。ぷっくりした唇に猫のような目…自由奔放な小悪魔的な魅力で’60年代のアイコンに。無造作な寝起きヘア、シンプルなトップスにデニムやフレアースカート、ぺたんこのバレエシューズなど彼女のスタイルは世界的な大旋風をもたらした。
「今はSNSが発達して、“多様性の時代”といわれている――。自分の魅せ方を知っている人は輝いて見える。中村里砂さんは、SNSでの自分の魅せ方にオリジナリティがあり、“わたし”を貫いているところがとてもかっこいいと思ったの。それは、ブリジット・バルドーが貫き通した彼女の魅せ方にも共通するもの。
例えば今、みんなが垂れ目メイクにして可愛らしさを演出するなか、里砂さんはその真逆に、ご自身のシュッと上がった目を活かして可愛く見せている。コンプレックスを隠して、平均顔へと寄せていくメイクではなく、自分の好きな部分を活かして、その個性をしっかり可愛さへと変えている。自分の生まれ持っているパーツを活かす、好きだというマインドを出すほうが絶対に魅力的。『人からこう見えたらいいな』という視点ではなく『私はこうなのよ』と魅せている人は、やっぱり輝いているし、光っているの。例えば、ブリジットを象徴する“盛り髪”。あのボリューム感は、一歩間違えれば『ダサい』って言われてしまうけれども、そのダサさをすごくいい感じに落とし込めたものが本当のモードな要素だったりするから、自分らしく可愛いエッセンスを取り込んで、それを自分の強さに変えてほしいと思うの」(小田切さん)
「たくさんいるファッションアイコンのなかでも、ブリジット・バルドーはキュートさがあり、コケティッシュで彼女ならではの官能性もあって、昔からすごく好きでした。ブリジットのボリュームヘアや猫目みたいなヘアメイクは今見てもとっても可愛くて。自分の意思がある人はかっこいい。それは写真やSNSにとても表れる。内面のことって、隠しきれないんです。だから『これが私のスタイル』だと、意思を貫いたブリジッドに強く惹かれます。
時代は移り変わるし、流行も変わる――。正解はなく、絶対もないということをここ数年で実感することがとても多かったから、『こうなりたい』『これが好き』という気持ちを貫くことが正解なのかなという想いへたどり着いた。その人が美しい、可愛いと思っていればいいという価値観へと今は変化している時代だから、とても生きやすい世の中になりましたよね」(中村さん)
強さとシャープさのなかにキュートさを垣間見せて
「可愛い=丸みや柔らかさ…というのが現代の概念。でも、ブリジット・バルドーが活躍した’60年代は、シャープに魅せながら可愛さを表現するというのが主流だった時代。目元のキャットラインなど強くシャープなメイクのなかに、抜け感や可愛らしさも共存するスタイルを築けたから、ブリジットが唯一無二なスタイルアイコンになれたの」(小田切さん)
ポイントは、目頭の“くの字”。キャットラインに抜け感を。
「ブリジットのメイクポイントは、囲み目のキャットライン! 目尻を跳ね上げた絶妙なバランスが彼女に可愛さを生み出している。目を全部囲んでしまうと、今は重くクラシックに感じてしまうので、目頭に“くの字”を効かせて、目の下は目尻から1/3だけアイラインを。抜け感が出るのでキャットラインにも挑戦しやすいの」(小田切さん)
使用アイテム
リップはツヤツヤでもなく、マットでもない“ロウグロウ”。生っぽさを残したほのかなツヤ感を実現させたRMK の新しいリップスティック。ピュアで無垢な表情になるコーラルカラー。
黒またはブルーのアイラインで、目を囲むようにキャットラインを描いたあと、アディクションのグレイッシュブルーのクリームアイシャドウをアイラインに重ね、さらにパウダーアイシャドウをレイヤリング。
中村里砂(なかむらりさ)
1989年7月12日生まれ、東京都出身。2010年よりモデルとして活動をスタート。’13年より雑誌『LARME』のレギュラーモデルへ。’16年、『少女椿』で映画初出演で初主演。女優としても活躍の場を広げる。ライフスタイルブランド「PHILOSOPHIA」をプロデュース。
小田切ヒロ(おだぎりひろ)
圧倒的なセンス、高い技術力、さらに引き込まれる話術で魅了する人気ヘア&メイクアップアーティスト。YouTubeやオンラインサロンでは視聴者やファンに寄り添い、真摯に向き合い悩みを解決。
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