アラサー世代から女性の泌尿器や生殖器のトラブルを正しく理解し、しっかりケアすることは、この先の女性の人生を快適に過ごすために重要です。女性医療ジャーナリストの増田美加さんに、最新のフェムケアについて伺いました。
誰にも見せないから…という時代は終わり!
フェムゾーン(デリケートゾーン)とは、尿道口、腟口、肛門周りの場所。以前は、いわゆる女性の恥部とされるようなブラックボックスでした。けれども、昔から女性にフェムゾーンの悩みがなかったわけではありません。乾燥してヒリヒリ痛い、かゆい、におう、セックスが痛くてつらい、頻尿、尿もれ、腟のゆるみ、小陰唇のたるみ、黒ずみ…。女性たちは、人に見せるわけではないから、恥ずかしくて人には言えないと、ただ我慢していました。
しかし、今は違います。フェムテックアイテムが数々生まれ、フェムテック企業や医療の世界でもフェムゾーンの不快症状は、女性が訴えるべきもの、改善できるもの、という世の中に変わってきています。“老化”という言葉で片づけてはいけないと、医療者の考え方も変化しています。大きなパラダイムシフトが起きたのです。人生100年時代、フェムゾーンのケアを若いうちから丁寧に行うことでもっと快適な人生が待っています。
VIO脱毛、フェムゾーン保湿…気になるあれこれにアンサー!
Q. VIO脱毛するべき? するとしたら何歳まで?
A. 清潔を保つために行うなら白髪になる前!
海外では、VIO脱毛をハイジニーナ脱毛といいます。ハイジニーナは清潔、衛生的な状態を意味するhygieneが由来。海外セレブも行う人が増えています。剃毛をくり返しカミソリ負けしたり、黒ずみが目立つことも防げます。ブラジリアンワックス脱毛で皮膚にボツボツができたり毛嚢炎になる人も。行うなら白髪になる前のレーザー脱毛ができるうちに。
Q. 「腟トレ」という言葉を最近耳にするけど、それって必要ですか?
A. 尿もれ、頻尿予防のために腟や骨盤底トレーニングは大切です。
腟トレとは、骨盤底トレーニングと同じこと。骨盤底は膀胱、子宮、腟を支え、排泄を司っています。腟、骨盤底がゆるむと尿もれ、頻尿、骨盤臓器脱などの原因に。骨盤底トレーニングは腟をギュッと締めながら引き上げ約5秒キープ、ゆっくりゆるめます。これを1日数十回、気付いたときに。より負荷をかけ、腟の締まりを良くしたい人は腟トレグッズを使っても。
Q. フェムゾーン用の洗浄剤の選び方のポイントは? 正しい洗い方は?
A. フェムゾーンのpH値に合ったものを選んで。
フェムゾーン(デリケートゾーン)は酸性度が高く保たれていて、腟内はpH3.88~4.5、外陰部周辺はpH5.3前後。一般的なボディソープは、pH6.0~10.0。pH値がフェムゾーンにあったものを選ぶといいでしょう。洗い方は洗浄剤を使って、泡で優しく。ぬるま湯で流せばOK。熱湯を使ったり、ゴシゴシこすらないこと。
Q. フェムゾーンの保湿はアラサーから始めたほうがいい? 腟マッサージってやっていいの?
A. 外陰部の保湿と腟マッサージはアラサーからOK。
外陰部はボティの皮膚と同様、入浴後の保湿は大事。乾燥、ヒリヒリ、かゆみなどを感じている人は特に。腟マッサージは、腟の柔軟性を維持し、萎縮や乾燥予防のためにもアラサー世代から行ってOK。人差し指に保湿剤をつけ、指の第1関節くらいまでを腟口に入れて優しくマッサージ。腟口にゴリッと硬さを感じたら、腟萎縮が始まっているかも。マッサージで柔らかくなります。
増田美加(ますだみか)
女性医療ジャーナリスト。女性のヘルスケアを中心に執筆。著書に『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)ほか多数。