“好き”を仕事にするのは楽しそうだし、自由な面が魅力の一方で、何かと不安も多いフリーランスという働き方。実際にフリーランスとして働く人たちに、独立したきっかけや仕事に対する想いを聞きました。
File01 フリーデザイナー・イラストレーター山川春奈さん(41歳)
以前勤めていたデザイン事務所にいるころ、Webやグラフィックデザインだけでなく、雑誌の挿絵としてイラストなどを担当させてもらうようになり、30歳を機に新たなことに挑戦しようと独立を決意。リーマンショック直後のタイミングで、雑誌業界のみならず、世界的に見ても不況でしたね。
先の目処もなく会社を辞めたので、独立直後は人からの紹介や前職からの繋がりが頼りでしたが、お仕事の実績が増えていくうちに各種SNSやHPからのメールでお問い合わせをいただけるようになり…、気付けば10年という年月が経っていました(笑)。
これまでを振り返ると、仕事量に波があるときもありましたが、好きを仕事にしたからこそ、楽しく働けてきました。「地道にやっていけばまたすぐ次の良い波が来る」と考えて、日々なんとか乗り切っています。10年間フリーランスとして働いてきて、成功するかどうかは「コミュニケーション能力」だと思います。
挨拶がきちんとできたり、クライアントさんの考えを汲みとることができたり、「この人に仕事をお願いしたい」って思わせられることがすごく重要。「デザイナー・イラストレーター=クリエイティブな仕事」と思われがちですが、実際にデザインを考えたり、イラストを描いている時間が大半ではなく、事務作業をはじめ、クライアントと打ち合わせなどほかの作業を行う時間が意外と多いのです。
だからこそ、うまくコミュニケーションを取れることは、すごく大事。フリーランスは提供するもののクオリティはもちろん、人と人の対話から生まれる“信頼の積み重ね”が大きいと思っています。
フリーランスを続けるうえで大切にしている3つのルール
- 自分のキャパシティを理解したうえで仕事を引き受ける
オーバーワークは結果的に、自分の仕事のクオリティと信用度を下げることに。自分のキャパシティのボーダーラインを知ることも大切。 - 自分の仕事の成果を発表する場所を作る
職業柄、HPやInstagram、個展やイベントなどで自分の成果物を発信して、人の目に留まる機会をとにかく作る必要あり! 案件獲得の一環です。 - 忙しさを理由に健康をなおざりにしない
フリーランスになると、健康診断や婦人科系の検査も完全にセルフに。長くフリーランスとして働くためには、健康管理も仕事のうちだと思うので。
山川さんにQ&A!
独立のきっかけは?
30歳の節目に思い立って(笑)。
好奇心の赴くままに独立しました。周りにフリーランスとして活動する友達が多かったことも独立の後押しになりました。
独立後、大変だったことは?
ギャランティの交渉。
独立直後は知り合い価格で仕事を受けていました。キャリアを積み重ねる毎に、徐々に金額交渉して、知り合い価格を脱却しました。
仕事の獲得方法は?
はじめは知り合いやクリエイティブチーム経由。現在はHPやリピーターのお客さんからの依頼が中心。
独立直後は、前職の顧客に営業したり、同業者・業界関係者の多いクリエイティブチームで人脈を広げるのもおすすめです。
独立後、仕事を増やすためにやったことは?
シェアオフィスに入って、仕事の繋がりを増やす。
コロナ禍前はシェアオフィスに入って、いろいろな業界の人と出会う機会を自分で作っていました。意外と仕事に繋がることも!
独立後、収入の変化は?
フリー1〜2年目から会社員時代の1.5倍に。
案件の規模感しだいで着手期間や報酬はまちまちですが、独立1〜2年目から会社員時代の年収を下回ることはなかったです。
独立前に準備しておくべきことは?
HPの作成と半年分の生活費の貯金。
私は身ひとつ、ほぼ準備ナシでしたが、周囲のフリーランスはHPの作成や半年〜1年分の貯金をしてから独立する人が多いです。