連載「青木貴子のラグジュアリー案内」。スタイリストの青木貴子さんが、注目のニュースを独自の視点で解説します。
華やかにドレスアップしたセレブリティが来場
先日パリでディオールの秋冬 2022-2023 オートクチュール コレクションが開催されました。アーティスティック ディレクターのマリア・グラツィア・キウリが今回のコレクションのインスピレーションソースに選んだのは、ウクライナ人アーティストのアレシア・トロフィメンコによる、絵画と刺繍を融合して作り出されたアートピースに登場する「The Tree of Life(生命の木)」。
さまざまな文化や神話を包括する象徴ともいえる「生命の木」に触発され、ハンドクラフトによる刺繍がふんだんに用いられたコレクションが生み出されました。上質のコットンやシルクに、職人の卓越した技術で贅沢かつ優美な刺繍やパールビーズの装飾を施した、魅力的なディテールの数々。ディオールの持つ素晴らしいサヴォワールフェールの力が発揮された素晴らしいドレスがランウェイに並びました。
そしてその魅惑的なコレクションを一目見ようと、ディオールのドレスで華やかにドレスアップしたセレブリティが世界中から集まりました。
ちなみにオートクチュールとはその人のためだけに特別に仕立てる最高級の服。数回の仮縫いやフィッティングという工程を丁寧に行なって出来上がる服って、夢のように贅沢ですよね。最高の素材と手作業で作られる、世界にたったひとり自分のためだけに作られた服…うっとりするけど、ひっくり返りそうなくらいびっくりするお値段です(笑)。
オートクチュールの服はもちろん普通は手の届かないものですが「ドレスアップ」することは誰にでもできます。さて、あなたはちゃんと「ドレスアップ」をしていますか? 機会がないとか、気恥ずかしいとか、着飾ることに不慣れな人もいるでしょう。でも、ドレスアップは礼儀のひとつ。結婚式などの特別な場に、カジュアルスタイルで行くのはマナー違反です。華やかに場を盛り立てるのは、果たさなきゃいけないお役目、そのくらいの気持ちで臨みましょう。
そして「ドレスアップ」はぜひとも身につけたい、とってもとっても大事な“術”でもあります。ドレスアップすること自体に実は素敵な効用があるのです。
「ドレスアップ」が持つ力とは?
たとえば、自分を大切に扱って欲しい場所に出かけるときに、あなたを特別なひとと認識してもらうことを可能にするのも「ドレスアップ」の持つ力。これは私が人から聞いたエピソードですが「フルレングスのドレスでタクシーから降りたら、ホテルマンの対応がいつもとぜんぜん違った!」のだとか。行くところが良い場所であればあるほどその効果は絶大です。高級レストランでもドレスアップして行くと、良い席に案内してもらえる可能性が高くなりますし、お店の方もよりサービスに気を配ってくれます。これ、ほんとに歴然と違います。なぜかというとドレスアップするということは相手へのリスペクトを表すからなんです。格の高いところほど、格を合わせてくれているゲストを大事にします。素敵なゲストのおかげで、自分たちの価値をさらに上げることが出来るからです、理にかなってますよね。
そしてドレスアップすることは「その場を最高に楽しみたいと思っている」という意思表示にもなります。同じ素敵なところに行くのなら、素敵な装いで素敵な時間を過ごしたいですよね。ドレスアップは自分で能動的に出来る「自分を楽しくする」手段のひとつ。活用しない手はありません! 華やかな気持ちになれるし、いつもの日常がドラマティックに変わるなんてことも起こるかもしれません。
ディオールのショー会場に集まったセレブリティの写真を眺め、その華やかな雰囲気を取り込んじゃいましょう。素敵な装いの人々を脳裏に焼き付け、自分の気分を高めるのも効果的。視覚的な刺激も大切です。装いも気持ちもドレスアップして、特別素敵な時間を自ら作り出していきましょう!
クリスチャン ディオール
0120-02-1947
【青木貴子のラグジュアリー案内】をもっと読む。