“大人のフリ”して放置(我慢したり、見て見ぬふりしたり)せず、煩わしい人間関係をぶった斬り、好きな人たちとだけ生きていく――。そんな“自分基準”を掲げて、人生を楽しく、生きやすくしていきませんか? 脚本家 岸本鮎佳さんの連載「私、幸せになるんで。はい、サヨウナラ」。あなたの人間関係やモノ付き合いの整理整頓&取捨選択に際し、ぜひご参考に!
vol.16 あなたにひどいことをしてきた男の捨て方
※先に言っておきますが、これは男への復讐コラムではありません。いや、ある意味復讐コラムか。
誰しも、相手にひどく傷付けられた経験はあると思います。
恋愛の傷は時間が経てば自然と癒えるというけれど、そんなの待ってられない!と私はいつも思ってしまうのです。
どうせ忘れるなら、さっさと忘れてしまいたい。
1秒でも、しんどい時間を減らしたい。
それは、もちろん自分のために、また新しく恋愛をするために。
以前、二股をかけていた男がいて、でも私はその人を本気でソウルメイトだと思うくらい好きだった。
とにかく、ノリが合うし、真剣な話もできるし、苦手な人が一緒で、好きな食べ物もお酒の趣味も一緒。
こんな人はもう現れないと思うほど気が合う彼が、二股だと発覚したときはショックだった。
というか、ショック通り越して、地獄。
私は前世で恋愛の神様に何かひどいことをしたのか、っていうくらい何でこんなにも合う人が浮気なんてしてるんだい?
当然別れるべく、話をしたところ、もう一人の浮気相手と別れると言う。
私はその言葉を信じて待っていたが、結局彼はその女と別れられなかった。
ソウルメイトではなく、ただの浮気相手を選んだのだ。
そんな大馬鹿野郎の彼に、最後思いっきり言いたいことを言ってやった。
・・・つもりだった。
心の中のモヤモヤ、苛立ち、悲しみはそんなすぐには、消えない。
辛すぎる・・・
しばらく飲んだくれて、自堕落な生活を送っていたある日、突然彼から長々とした弁解のメッセージが。
それは、寄りを戻したいというメッセージではなく、単なる「言い訳」メッセージだった。
「だって、僕はあのときこんだけ辛くてねー」という調子で、要は「俺の気持ちもわかってよ」と、自分が楽になりたいだけのゴミメッセージ。
うんざりした。
こんな男だったということにも、こんな男をソウルメイトだと信じて付き合ってきた自分にも。
何て、返信してやろうか。
何て返信したら、ギャフンと言わせられるだろうか。
自分の心に沸々と湧き上がる復讐心。
あらゆる文章を作っては消し、作っては消し、もっとこの男を傷つけてやる言葉があるんじゃないかと、ワクワクしながら考えていた。
一番相手が傷つく方法...
私が彼だったら...
そのときふと、頭に浮かんだ。
もしかしたら、このまま無視するのが、一番効くんじゃね?
こんなに長ったらしい言い訳メッセージを送ってきているのに、私がまるで何も見てないかのように、スルーすれば、こいつめちゃくちゃ、虚しくないか?
見たのか見てないのかさえもわからない。
許してくれたのか、怒ってるのかさえわからない。
ただ、存在が消えた。
それは、一番のダメージなのではないか?
私はそのメッセージに既読をつけないまま、スルーした。
言いたいことはたくさんある。
相手を傷付ける言葉を投げかけるのは、簡単だ。
でも、それをしてもまた相手から腹立たしい返信が返ってくるかもしれないし、返ってこなければ返ってこないで、腹立たしい。
だからこそ、意志を持って、無視することにしたのだ。
そこからはもう、傷が癒えるのを待つ時間ではない。
私に主導権があり、私が決めることが出来る待たせる時間。
ただ無視してるだけなのに、心が軽くなった。
それから数ヵ月に一度その男から連絡が来る。
でも、もちろん返信はしていない。
私は最高の復讐の仕方を知ってしまったので、もう何も怖いものはない。
女々しい二股男さん、はい、サヨウナラ。
皆さんも、酷いことをされて捨てたい男に試してみてくださいませ。
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