20代なんてまだまだチヤホヤされてナンボでしょ!なんて思い過ごしていたら、気づけばアラサー&彼氏いない歴5年。周りは長く付き合っている彼と婚約秒読み!なんて女子が急激に増えだした。一方で、私は最近WEB系コンサル会社に転職したばかりで、毎日慣れない仕事に奮闘するも、このままじゃ気づいたときには30代突入してるかも・・・、とようやく焦りだした、ごく一般的なOL。ワタシ、一之瀬ゆりか 27歳のセキララ婚活ドキュメントをここに綴っていく。
前回、合コンで出会った“イケメンで仕事もデキるハイスペック港区男子”と出会うも、完璧すぎるその姿に警戒しつつ、次回のデートの予定を決めている最中に友人A子からとんでもない情報が飛び込んできた・・・!
知らぬが仏!?いや、ママのファインプレー
A子は、デートの2軒目で六本木にある幹事行きつけのバーに来ていた。
慌てた様子でA子からLINEが来たので、「どうしたの!?」と聞くと、
A子「エリート君、もしかしたら既婚者かもしれない・・・。とにかく幹事と解散したらすぐ連絡するね」
すぐさま返事がきたのでA子からの連絡を待つことにした。
思いもよらぬこの展開に焦るワタシ。いろんな経験をしてきたつもりだったけれど、意外にもこのパターンは初めてだった。なんなら、ドラマのなかの話だと思ってたくらい(笑)。
その日の深夜にA子から電話がありすべてを聞いた。以下、経緯を説明しよう。
2軒目にA子が連れて行かれたバーは、昔有名なキャバクラやクラブで超売れっ子だったというママさんがやっているお店だった。幹事はそのお店の常連で、会社の先輩や後輩もよく連れて来ていて、彼のお気に入りの場所だったらしい。
A子と幹事がしっぽりと飲んでいると、他のお客さんがいなかったこともあり、途中でママさんが席についてお酒を作り始めた。
ママ「あらぁ、若くて可愛い女の子連れてるじゃない! ニヤニヤしちゃって幸せそうねぇ。最近調子はどうかしら?」
幹事とママの世間話が始まり、A子はそれをニコニコしながら聞いていた。
しばらくしてママが3杯目のハイボールを作っているときに、ポンッと手を打ってこう言った。
ママ「ねぇ、そういえば最近、あなたの後輩でイケメンのエリート君お店に来ないわね」
幹事「あ、あいつは今忙しい時期なんじゃないかな・・・」
急に幹事の声のトーンが暗くなり、焦るようにハイボールを喉に流し込んだ。
ママ「まぁでも彼、新婚さんだから仕方ないわよねっ!そのうちまた連れてきてちょうだい」
A子「・・・!?!?!?」
思いもよらないワードが聞こえたA子は、自分の空耳なんじゃないかとパニック状態になり、固まった。そして横にいる幹事の顔を横目でチラッと見てみると、彼も同様に固まっているではないか。その異様な空気をおそらく一瞬で察知したママが慌てたように続けて口を開いた。
ママ「そういえば来週お店の周年パーティーがあるから、ぜひいらしてね♪」
幹事「あぁ!もちろん顔を出すよ!よかったらA子ちゃんも一緒にどう?」
ママも幹事も動揺してあからさまに話を変えたことに、A子は空耳でなかったことを確信した。しかし、A子はその話に触れることは出来ず、直接確認することは出来なかった。
それにしても、まさかママが口を滑らせたなんて・・・。一瞬で空気を読んだのはさすがだなと思ったけど、ママもあのひと言が空気を読めない爆弾発言だったなんて思いもよらなかったんでしょうね(苦笑)。
でもワタシからしたら、ママさんファインプレー! ぜひ直接会ってお礼を言いたいくらい。A子にもお礼を言って、その日の電話は終了した。
第六感!女の勘を舐めるべからず
さて、まさかの事実を友人づてに聞いたワタシはどうするか考えた。
エリート君のことを好きになっていたわけではないので、ショックを受けたというよりは、舐められていたことに怒りが沸々と込み上げてくる感覚だった。
既婚者という事実を隠される経験は初めてだったから、単純に何を思ってワタシに手を出そうと行動して、どうしたかったのか、エリート君の思考が気になり、直接話を聞いてやろうと思った。よし、このままドライブデートは決行しよう。
エリート君と次回会う日が決まってからも、彼とのLINEはだらだらと続いていたが、ふと疑問に思った。幹事がバーで起きてしまった出来事をエリート君に話していないのだろうか。でも彼は何も変わった様子がないので、幹事が話していない可能性が高い。
一緒に合コンに参加した友人たちとのLINEグループでは、もちろんエリート君の話で持ちきりに。
友人B「やっぱり独身な訳なかったか・・・。ゆりかが知ってること、彼知らないままなんだろうね〜」
友人C「しかも新婚だよ?ほんと最低だよね。てかさ、絶対エリート君って◯◯◯(某高級外車メーカー)の車とか乗ってそうじゃない?」
全員「めっちゃわかるーーーー!(爆笑)」
その後も女子トークが炸裂し、なんだかみんなから元気をもらった。
そういえば、今まで気づかなかったけど、彼からの返信は毎晩決まった時間にしか返ってこない。そして、今思えば前回のデートで向こうから手を繋(つな)いできておいて、会社に近づいてきた頃に突然手を離されたのは、会社の人達に浮気をしていることがバレるのを恐れたからだったのだろう。
となると、会社の同僚の家に転がり込んでいるという話も嘘だということになる。よくもあんなベラベラと作り話できるもんだなぁと、ある意味感心した。
防波堤での戦い in 湘南
ドライブ当日。待ち合わせ場所に行くと、エリート君が車から颯爽とティアドロップ型のサングラス姿で降りてきた。その日は曇天。「天気、曇ってますけど?」と思わず心の中でツッコんだ。そして、彼が乗っていた車はなんと、ワタシたちの予想通りの某高級車だった。大正解(笑) 。しかもシートは高級革張りで、さぞかし稼がれていらっしゃるんだろうなという感じがした。
エリート君「湘南に行こうか! ゆりかちゃんを連れていきたいところがあるんだ」
そう言って車を走らせるエリート君。車内では相変わらず、仕事が忙しくて全然遊んでいないアピールと独り身が寂しいアピールが続いた。
ゆりか(心の声)(いやいや、もう全部分かってるから。アピールしすぎると逆に怪しさ倍増ですけど?)
湘南に着き、食べ歩きや海辺を散策し、夜は江ノ島でのんびりディナーをして、あっという間に時間は過ぎていった。いつ暴露してやろうかなと様子を伺っていたが、なかなかタイミングが掴めない。エリート君はというと、終始ご機嫌な様子だった。
食事が終わると、エリート君が海と夜景を眺めたいなと言い出したので、近くにあった防波堤に腰をかけ雑談していると、エリート君がキメ顔でこちらに顔を向けた。
エリート君「今夜は朝までずっと一緒に居たいな・・・♪」
キター!口説いてきたこのタイミングで言うしかない。
ゆりか「え、なんか言うこと他にあるよね?」
何もないよ、とキョトンとする彼。さぁ、ゆりか!ぶちかましてやるのよ!
ゆりか「嫁いるよね?しかも新婚(真顔)」
エリート君「え、なんのこと?嫁なんていないよ!」
それでも彼は全く動じないので、すべてを話すと彼は遠くを見ながら黙り込んだ。
5分くらい沈黙があったんじゃないかしら。気まずい空気の中、エリート君が重たい口を開いた。
エリート君「ごめんなさい、実は結婚してます・・・。騙すつもりはなかったんだけど、つい楽しくて一度会ったらまた会いたくなっちゃって。言うタイミングを逃しちゃったんだよね」
もうそこからは止まらなかった。
言うタイミング逃したって何よ。自分さえ良ければいいって根性がムカつくんだけど、どうしてくれるの? こっちは既婚男の気晴らしのためのボランティアじゃないんだけど? 話してて楽しかったら浮気するの?などなど、冷静に彼にいろんな言葉を突き刺した。うつむきながら小さい声で「すいません」と謝るだけの彼にさらにイラッとして、
ゆりか「どうお考えで?」
と聞いてみた。
エリート君「本当にごめんなさい。ああいう飲み会には誘われても、これからは行かないようにします・・・。改めます。本当にありがとう」
幼稚すぎる答えに呆れて、もうこの話は終わりにしようと判断。家まで送ります・・・。と急にエリート君が敬語になった。当たり前よ! 江ノ島に置いていかれたら、たまったもんじゃないわ。帰りの車内の空気はもちろん最悪。もう寝よう、そう思って目を閉じた。
エリート君「あ、この車、座席倒せるようになってるよ!? 倒しますね?」
今までの堂々としたエリート君はどこへやら、オドオドし出す始末。
ゆりか(心の声)(いやいや、助手席が倒れることくらい知ってるっつーの!この高級車でリクライニングできない方がびっくりするわ!)
自宅まで送ってもらい、部屋に入ると、すぐさまエリート君から謝罪のLINEがきた。よっぽど奥さんにバラされたり、復讐されることを危惧しているのかしらね。もちろん既読だけつけて無視した。それからもう連絡がくることはない。
奥様には悪いけど、一見すると優良物件なハイスペ港区男子を捕まえたとしても、こんな生態なら、彼は事故物件だわ。幸せになりたいなら港区男子は避けるべきかもしれない。女独身、27歳の戦い(婚活)の日々は続く。