小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優 多部未華子さんの連載「多部未華子がBOOKコンシェルジュ!」。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.46 母と娘の関係を描いた小説で、オススメはありますか?
《読者からのリクエスト》
結婚をしてパートナーとの新しい生活をスタートさせる喜びと同時に、初めて実家を出ることの寂しさを感じています。結婚後も良好な母娘関係を築いていくために、母や家族の気持ちを知るきっかけになる本が読みたいです。
《多部さんのオススメは・・・》
大人になって家族で昔の思い出を話してみると、すごく楽しい
北村薫さんの『月の砂漠をさばさばと』を読みました。作家のお母さんと9歳のさきちゃんのふたり暮らし親子のほっこりエピソードが12篇綴られた温かい小説です。ここ最近くたくたな毎日を送っているので読書の時間だけでも癒しが欲しいなと思い、この小説を手に取ったのですが素敵な一冊でした。
お母さんとさきちゃんのふたりの日常に流れているゆっくりとした空気が、ふわふわととても可愛く、優しさやたっぷりの愛情に包まれている12篇で、読んでいる私まで優しい性格になっちゃうんじゃないかと思いました。こんなにもゆったりとした温かい日常生活を送れると、心が豊かになって人にもモノにも優しくなれていいこと尽くしだよなぁ…それって余裕がないとできないことだよなぁ…とついつい余裕のない生活を送っている自分の現実と比べてしまいます…(苦笑)。
みなさんは自分の名前の由来、両親に聞いたことがありますか? さきちゃんがお母さんに自分の名前の由来を聞く“ふわふわの綿菓子” のエピソードが特に印象的で、いつだったか忘れたけれど、幼少期の私も母親に聞いたことがあるなと思い出しました。もちろん子供の頃のできごとって全部覚えているわけではないけれど、ところどころ鮮明に覚えているところもあります。ただ、その覚えているところはみんなが同じではないので、大人になってから家族で昔の思い出話をしてみるとすごく楽しいですよね。
ちなみに私は、“未来に華が咲くように”と両親が考えて未華子と名付けられたわけですが、大学生の時、受講していた第二外国語の中国語の先生に「中国では『未』という字は、あまり良くない漢字だから絶対にこんな名前つけませんね。『未』を名前につけるのは最悪です。どうしてこんな名前をつけたんでしょうか? 信じられません!!」とめちゃくちゃ強く否定されて驚いた記憶があります(笑)。
私の華はまだまだ蕾かもしれませんし、いつ咲かせることができるのか分かりませんが、両親がたくさん考えてつけてくれた名前に恥じぬよう、必ず咲かせてみたいと思います!!と言いたいところですが、今十分に幸せなので、あまり深く考えず生きていきたいと思っています(笑)。
今回のオススメ本はこちら!
いつか大きくなったとき、今日のことを思い出すかな――。かつて自分が通った道をすこやかに歩いてくる娘と、共に生きる喜び、切なさ。優しく美しいイラストで贈る、少女とお母さんの12の物語。
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