美術を面白おかしく、わかりやすく解説する“アートテラー”として活躍するとに~さんによる連載。読者の皆さまからの質問も随時受け付けています! 今回は、目利きが推薦する今注目の若手アーティストをご紹介。
こんばんは。アートテラーのとに~です。
先日、毎日放送の制作・TBS系列「日曜日の初耳学」の「初耳トレンディ」コーナーにて解説役で出演させていただきました。これまで何度かテレビ出演はありますが、初のゴールデン番組。おかげさまで反響も上々だそうで、ご視聴いただいた方には心から感謝しております。ちなみに、僕が出演した回のテーマは、「爆上がりアート」。コロナにより、おうち時間が増えたことも大きな要因となって、今、日本は空前のアートブームとなっています。値上がり幅の大きさから、一部の人々から現代アートの注目度が上がっている今日この頃。そのあたりの事情について、番組内で解説させていただきました。
さて、オンエア内でも触れましたが、アート作品を家に飾ってみたいという女性の方が増えています。その一方で、興味があるけれども、どんな作品がおすすめなのだろう・・・。そう悩まれている方も少なくありません。そこで今回は、特に若手アーティストの発掘に力を入れている池尻の八犬堂アートギャラリーの大久保欽哉代表に、今イチオシのアーティストを教えていただきました!
このアーティストがオススメだねぇ~オススメだよぉ~
まず大久保さんが紹介してくれたのは、1989年生まれ、三重県出身、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程デザイン専攻修了の内田亘さん。大久保さんいわく、「その脱力感、光景の切り取り方、空間の使い方、ユーモア、すべてにおいて絶妙、たぐいまれなるセンスをもった作家です。ちなみに、画像で紹介している作品は、8月11日より松坂屋名古屋店で開催される『アートアートアート』に出展されます!」とのことです。
確かに、アザラシがゴロゴロウダウダしているご本人の公式サイトのトップ画面からして脱力感が漂っています。しかし、その緩やかな空気のなかにも、思わずハッとさせられる切れ味のようなものが感じられるのも事実。無理矢理、芸人に例えるのであれば、ここ最近再ブレーク中の、もう中学生に通ずるものがある気がしています(※とに~個人の感想です)。
その世界観に骨抜きにされること間違いなし
続いて紹介していただいたのは、“クラゲ日本画家”の異名を持つ間瀬由加里さん。1994年生まれ、愛知県出身、愛知県立芸術大学日本画専攻卒。水の流れよって触手がたなびく。その形によって水の流れが見える。そんな相互に変化していく関係性によって定義される「存在」を描いている日本画家です。
大久保さんいわく、「作家デビュー当初、正統派な日本画家としてクラゲをメインモチーフに描いていましたが、本来の彼女の魅力である創造性の豊かさが徐々に作品に表れ始め、途端にファンが急増しました。日本画の美しさとまるで絵本のワンシーンのような物語性をもつ作品をぜひ見ていただきたいです」とのこと。
9月4日からは八犬堂ギャラリーにて初の個展も控えているそう。例年以上に暑い今年の夏。観ているだけで、自分も水中を漂っているような気分を味わえる間瀬さんの作品で涼をとってみてはいかがでしょうか?
This is a ペン画
最後におすすめいただいたのは、1996年生まれ、滋賀県出身のMARINAさん。可能性を秘めた若手作家をいち早く見出し、その才能が開花することを美術ファンとともに応援するために創設されたヤングアーティスト公募展「いい芽ふくら芽」で、見事グランプリを受賞した期待の若手アーティストです(ちなみに、ロイドワークス賞とのダブル受賞)。
その魅力を大久保さんはこう語ります。「大まかな構想は頭にあるものの、基本的には描きながら即興的にモチーフや構図を決めていくという自動書記的絵画という離れ業をやってのけるMARINAさん。だからこそ、そこには無数の情報とメッセージが込められている。
ペン画というスタイルは細密だからこそダークな世界観になりがちだが、MARINAさんの作品はシリアスだけでなくキュートさとユーモアに溢れています」。
ペン画と聞くと、絵筆で描かれた作品よりも、なんとなく格下なイメージを持ちがちです。しかし、彼女はあえて絵筆でなく、ペンでの制作を選択しました。その理由は、頭に浮かんだものをすぐに描きたいから。絵筆を使うと、筆先に水や絵の具を付ける必要があり、その時間がもどかしいのだそう。その点、ペンであれば、すぐに絵を描くことができるというわけです。
たかがペン。いや、されどペン。これぞ究極のペン画です。
八犬堂アートギャラリー
https://hakkendo.net/index.html
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