美術を面白おかしく、わかりやすく解説する“アートテラー”として活躍するとに~さんによる連載。読者の皆さまからの質問も随時受け付けています!
※緊急事態宣言の発令に伴い、本記事で紹介している展覧会の会期や営業時間が変更になる可能性があります。詳細は各展覧会の公式サイトをご確認ください。
こんばんは。アートテラーのとに~です。
今年の大本命展覧会、東京国立博物館での特別展『国宝 鳥獣戯画のすべて』が、いよいよ開幕しましたね。以前ご紹介した通り、《鳥獣戯画》全4巻が全場面一挙展示される史上初の展覧会。早速足を運んできましたが、何よりも驚かされたのが、展示ケースの足元に設置された動く歩道です。これによって、作品の前に人が溜まってしまう問題が解消。しかも、動く歩道の上にただ立っているだけで、自然に作品が目の前を流れていくという。楽ちん、かつノーストレスな新感覚の鑑賞体験が味わえました。チケットは日時指定制。日によっては即完売しているのだそう。5月11日~30日の分は、5月4日(火)10:00に予約受付がスタート! 気になっている方は、ぜひチェックくださいませ。
さてさて、鳥獣戯画展もいいですが、現在、原宿で話題の展覧会が2つ開催されています。しかも、どちらの展覧会も鑑賞料は無料! せっかくなので、2つセットで訪れてみてはいかがですか?
あのブランドの歴史を辿るエキシビション
現在、原宿駅前にあるジング(jing)で開催されているのが『LOUIS VUITTON &』。ルイ・ヴィトンが所有する貴重なアーカイブの中から、発売当時に特に話題を集めたクリエイターやアーティストとのコラボアイテムの数々を中心に紹介するエキシビションです。
日本を代表する現代美術家、草間彌生さんや村上隆さんとのコラボアイテム、コムデギャルソンの創業者・川久保玲さんとコラボした“バッグ ウィズ ホールズ(BAG WITH HOOLES)”など、もはやアート作品と言っても過言ではないアイテムが多数展示されています。
エキシビションは全部で10の部屋で構成されていますが、数ある部屋の中でもっともインパクトがあったのが、カレ・ド・ソワ(シルクスカーフ)がまるで絵画作品のように壁一面に展示されたこちらの部屋。ソル・ルウィットやジェフ・クーンズ、建築家の磯崎新さんら、さまざまなクリエイターが手掛けたカレ・ド・ソワが展示されていました。
ちなみに、会場内は写真撮影可能です。おかげで、ルイ・ヴィトンのアイテムを多数ゲットすることができました。スマホの写真フォルダの中に。
『LOUIS VUITTON &』
会期/2021年3月19日(金)〜5月16日(日)
会場/jing(東京都渋谷区神宮前6-35-6)
https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/magazine/articles/lv-and#
大正10年以来初となる現代アート展
創建100年を記念して、明治神宮では昨年より『神宮の杜芸術祝祭』という芸術と文化の祭典が開催されています。そのフィナーレを飾る展覧会として、現在開催されているのが、『気韻生動−平櫛田中と伝統を未来へ継ぐものたち』。100歳を越えてなお創作活動を続けた伝説の彫刻家・平櫛田中の名品の数々とともに、平櫛田中をリスペクトする現代アーティストの作品を展示する展覧会です。
出展作家は、舟越桂さん、宮島達男さん、名和晃平さん、棚田康司さん、三沢厚彦さん、須田悦弘さん……と、超豪華なラインナップ。ベテランから超人気アーティストまで、彫刻作品・立体作品部門の日本代表選手が、ほぼ全員参加していると言っても過言ではありません!
さらに特筆すべきは、この展覧会が明治神宮宝物殿で開催されているということ。平成29年より長期にわたる修復工事が行われていたそうで、修復後、一般公開されるのは今回が初めて。しかも、この建物で、明治天皇・昭憲皇太后の御物以外のものが展示されるのは、大正10年に竣工されて以降初めてのことなのだそうです。
実力人気ともに第一級の現代アーティストの作品が、明治神宮宝物殿の空間で観られる。それも、宝物殿竣工時に作られた歴史ある展示ケース内で観られる。二重にも三重にも貴重な機会。見逃すと一生後悔するかもしれません。
明治神宮内は、お正月と違って密は発生していませんので、どうぞご安心を。散歩を兼ねて訪れてみては?
『気韻生動−平櫛田中と伝統を未来へ継ぐものたち』
会期/2021年3月25日(木)〜5月30日(日) ※緊急事態宣言の発令に伴い5月11日(火)まで臨時休館中
会場/明治神宮 宝物殿(東京都渋谷区代々木神園町1-1)
https://jingu-artfest.jp/kiinseido/
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