ファッションエディターの乙部アンさんが綴る、ものごとの本質を知り、満たされる毎日を過ごすための考え方を指南する連載「オンナの生き方・磨き方」。vol.22となる今回は、「推し」を持つ重要性についてです。
「推し」とはすべての始まりである
11都府県で緊急事態宣言が出され、再びおうち時間が増えてきたこのタイミング。宣言が出されていない地域に住んでいる人でも、何となく自粛ムードになるのは必至です。そんなとき、私たちに求められるのは、自分で自分を楽しませることができる「自活力」の大切さです。
憧れのミュージシャン、大好きな俳優、夢にまで出てくるアイドル・・・。存在を思い出すだけでもときめきとうっとりを運んできてくれる「推し」の存在は、私たちの生活にとんでもなくたくさんの幸せをもたらしてくれるのはご存知でしょうか?
すでに「推し」のいる人にはあたりまえのことかもしれませんが、キャーキャー騒いでいる友達をどこか冷ややかな目で見ている人がいるとしたら、ぜひ、今回の記事を読んでいただきたい。なぜなら「推し」のいる毎日は、思った以上にいいことだらけなのです。
心もカラダも元気にしてくれる「推し」という存在
まず大前提として、私たちはすでに毎日頑張っています。コロナ禍で心も環境も不安ななか、生きているだけでものすごくえらいのです。そのうえ朝になったら時間どおりに起きて仕事の支度をし、働いて、家事もして、身の回りのことをきちんとしている。さらには毎日が安定しているわけではなく、ときに辛いことがあったり、トラブルや、人間関係に悩まされることだってある・・・。
そんなとき気分を変え、一気に幸せな気持ちにしてくれるのが「推し」という存在。顔を見るだけ、もしくは存在を思い出すだけで私たちを元気にしてくれます。いい意味で現実逃避させてくれて、落ち込んだときにはものすごいスピードでクイックリカバリーを可能にしてくれます。
コロナ禍に見られるように、私たちの毎日は思い通りにいくようなことばかりではありません。けれど、どんなときも気持ちをふんわりやわらかく包んでくれる「推し」がいるだけで、「一人ですべてをどうにかしようとしなくてもいい」と支えられているかのように、いつのまにか心が慰められたり、気持ちがふわっと軽くなったりする。髪を振り乱してがんばらなくても、まずはあなたの心が元気であれば、どんな状況であれどうにかやっていけるということを「推し」は優しく教えてくれます。
あなたを新天地へ連れて行ってくれる「推し」
たとえばとある映画がきっかけで好きなった俳優の「推し」が、あなたにいたとしましょう。その映画を何度も何度も繰り返し観終わったあとは・・・やはり、その「推し」が出演している別の作品も観てみたくなりますよね。そこからの延長でまた新たに良作に出合えることもあります。またたとえば「推し」が時代劇に出演していれば歴史に詳しくなることもあるだろうし、ドラマでシェフの役をすることで、あなたがお料理に興味を持つことだってあるかもしれません。
そう、「推し」はあなたがただ普通に暮らしているだけでは出会えなかった人や分野に、新たな興味を持つようなきっかけを与えてくれます。“人生の目的は経験そのもの”とまで言われているくらい、時間と命を削って得たさまざまな経験というのはとても貴重なもの。一人で頭の中で考えているだけではスルーしてしまうような分野に出合わせてくれるのが「推し」でもあるのです。自分一人の考えではなかなかそこまで行きつくこともできないでしょうし、行動力も沸かないでしょう。
交友関係が広がる「推し」の効果
共通の「推し」がいることで、見ず知らずの人から親しい仲になるという話だってよく聞きます。これもまた、今までと同じような生活をしていては到底知り合えなかったような人との出会いで、新たな人間関係を築くことができる。さらにそこから新たなつながりが生まれる。
「推し」を通して多くの人と豊かな交流ができるのはもちろんのこと、会社や地元以外で自分のホームを持てるというのは何より貴重なこと。それによって今までの仕事や人間関係にもいい影響を及ぼしたり、あなた自身いくつかの居場所を持つことで、肩の力が抜けるというのも利点です。
さらには知識と経験が広がるので雑談力もいちだんと高まる。やはり「推し」のいる毎日は、いいことずくめです。
「推し」。それはあなたの人生をよりいっそう豊かにしてくれるだけではなく、生涯の仕事や住む場所にまで影響することがあり、本来の使命にさえめぐり合わせてくれることがあります。ただのミーハー心として侮るなかれ。まだの人はぜひ、「推し」を持つことをオススメします。対象が何であれ、「推し」のある人生は豊かであることこのうえないのです。