旬野菜を使った料理や、季節に合わせたメニューを、フードライターの坂本ちなみさんがご提案。今回は冬を代表する野菜、大根を使った料理10選。献立のレパートリーを広げてくれるアイデアに注目です。
ふろふき大根の味噌田楽
期待通りの優しいお味で、割烹着を着たおばあちゃんを連想させる。味噌に混ぜた砂糖はいつもより若干多め、みりんと酒は少なめにしてみた。味噌を火にかけて混ぜながら、柚子をぎゅっと絞る。香りがふわぁと舞い広がって、昆布でコトコト煮た大根との出合いを待つ。大根から垂れた田楽味噌に、そっと添えた柚子の皮がいい。味も見た目もとろみを理想的にしてくれる。
和テイストの器は北欧ヴィンテージ、盛ると心が調律される感じ。ふろふき大根がちょこんと佇む姿に心底ほっこり。
変わり大根もち
正直なところ今まで2度同じ大根餅を作ったことがない。作るたびに何かしらの変化が生じる。これほど失敗のない、食材に合わせて融通の利くメニューもなかなかないと思うほど、アレンジが自由自在。食材を切るのが面倒なら、キムチを入れるだけでも美味しいし、じゃこや桜海老だって大活躍する。玉ねぎがあれば甘みをプラスできるし、キノコ類にも大いに期待できる。チーズを入れたときもこんがりトロっとした食感に家族は完全ノックアウトだった。いや、そうは言っても今手元には大根しかないのよね、というあなた、それでも大丈夫! 具材がなくても大根だけで十分美味しかったりする。
ただ、大根もちは、なかなかの工程をふむ(笑)。切る→茹でる→蒸す→焼くの4つの過程が必要なことは否めない。
●作り方
1. 極細に切った大根はサッと下茹でしてアクを抜き、絞って冷ます。
2. 好みの具材と1を混ぜ、水で溶いた上新粉と塩を加えて流し缶やバットに移して平らにしたあと蒸して冷ます。(上新粉がなければ片栗粉でも)
3. フライパンに胡麻油をひき、好みの大きさにカットした2を両面こんがり焼く。
※甘辛いタレや、スパイスを効かせたタレ、ぽん酢などなど好みのタレを探るのも楽しい!
※蒸す工程は、レンチンでも。
※写真の具材は、カニカマ、アサツキ
こんなに面倒ならもういいや、というかた、朗報です(笑)。大根おろしで作る卵白入り大根もちレシピというものがあるので「大根おろしで作る大根もち」の記事をのぞいてみてください。
みぞれ蕎麦
思い出すのは、「粘り強く力持ちになれるように」と願いを込めながら母が作ってくれた餅入りの年越し蕎麦を食べていた子ども時代のこと。大晦日についた餅を蕎麦に入れると1年の締めくくりと新しい年明けの歓迎を感じて凛と気持ちが引き締まったのを覚えてる。
そして、ここでも大根が活躍していた。大根に含まれる酵素ジアスターゼが消化を助けてくれる。出汁を吸った大根おろしと三つ葉の相性も抜群、おすすめです。
大根の辛子焼き
こんがり焼いた半月切り大根を、辛子を加えて溶いた麺つゆを絡めて仕上げる簡単なお弁当おかず。冷めると味が染み込んで、なお美味しい!
紅白なます
大根と金時人参の紅白なますが心をほぐしてくれる。冬の冷たい土の中、粛々と育っていく根菜野菜がそれぞれの長所を褒め合い手を取り合っておめでたい料理へと進化する、そんな印象。
紅白なますアレンジ
見映えも美しい「紅白なますアレンジ」レシピもチェック。
大根粥
お粥三昧の先週の記事、思いがけない反響があった。お粥のおかげで数年ぶりに声を聞ける友人もいた。お粥レシピはまだまだ増えそう。
写真は大根を細かく刻んでお米と一緒に土鍋で炊いたもの(おせちの残りの蒲鉾も入れた)。冬の朝、静まる空気の中で微動する土鍋の蓋、生き生きした湯気、米作りにまで思いを馳せる。お粥愛が深まる瞬間、すべての工程に四季を含んで清々しいなと思う。
せせり大根の甘辛炒め
私は普段お肉を食べないが、頂いたりしたときは心を込めて調理する。写真は、鶏のせせり、大根、青梗菜を、胡麻油とみじん切りニンニク生姜で炒め、甘辛く味付けしたもの。
柚子味噌田楽
先ほどの田楽は昆布で煮込んだが、こちらは米の研ぎ汁でコトコト。柔らかくなった大根全体に、柚子味噌を満遍なく絡めたもの。食べた人の笑顔が見れる料理。
スズシロの切り干し大根
大根は案外簡単に育つ。庭やプランターにちょっとスペースがあるなぁと思ったら大根の種を撒いておくといいかも。生命力に驚かされることだろう。写真は、間引きした大根を干した直後。日向に干しておくと数日で切り干し大根になる。栄養価にも期待!
野菜の浅漬け
冷蔵庫にある野菜を切って浸しておくだけで至福のひとときを得られる。これならパクパク。浅漬けが栄養不足を解消してくれるなんて、ほんと有難い。
大根ステーキ
じわじわと透き通っていく繊維、味わいを深める格子状に入れた切り目、茶色い焦げ目は思い描いた通り。甘い葉元の大根を照りで艶々に仕上げる楽しみはほんと胸を膨らませる。
大根料理10選、いかがでしたか。皆様のお役に立てるとを願いつつ、今年も頑張って引き出しを増やしていきたいと思っています。2021年も、どうぞよろしくお願いいたします。