【@ご近所商店街】時間とお金の使い方で、人生が変わる

GINGERのウェブでおなじみ、お叱りバーのジョバンナ洋子ママ連載が装いも新たにスタート。悩み多き30代子羊の相談役から、今度は店を飛び出し、お叱り巡礼の旅へ。各地で出会う日常あるあるな事件簿をお届けします。イタリアワイン片手に過ごすレヴュー飲みもお楽しみに!

いよいよ新たな様式の生活へ


ボンジョルノ! お元気かしら、皆さん。長かった自粛期間も明け、ようやく社会生活が始まったわね。とはいえ用心しながらだから、油断は禁物だけど。 私自身はStayすることに体が慣れちゃって、社会復帰ができるかどうかが心配よ。それになんていうのかしらね、正直もう見える世界は以前とは違うわ。きっと皆さんの心にも、さまざまな思いが去来していることでしょうね。

「あなた、誰?」って方もいるかもしれないから一応お伝えしておくけれど、本業はファッションエディターよ。どんな状況でもしぶとく楽しみを見つけるイタリア的パッションを備え、お酒が大好きで無類の食いしん坊、曲がったことやズルいことが大嫌いだから、そんな人を見つけたら武士並みにバッサバッサとお叱りしてしまう・・・・・・ざっくり言えばそんなところ。

散歩がてらの初パトロール

さて、そろそろマスクをして買い物に出かけようかしら。まだ遠出する気分でもないから、今日のパトロール先は “灯台下暗し”的な、ご近所だけれど散策できてなかったところよ。あ、このマスクはね、NYのコリーナストラダっていう注目ブランドのインスタで見つけて手作りしたのよ。ウェブサイトに載ってるからトライしてみて。    

©collinastrada

仕事柄、都心に住んでいるんだけど、つくづく東京って面白いわよね。巨大なオフィスビルが立ち並び、大量の人が行き交う主要駅から歩いて10分とかからない隣駅の街が、まるで昭和にタイムスリップしたような昔ながらの風情なんだから。八百屋に魚屋、お惣菜店にお煎餅やさんなんかが狭い通りに並んでるのよ。

その商店街に去年できた話題の高級食パンの店が美味しいの。やわらか〜い食パンのなかにこしあんが渦を巻いてて、危うく一度に一斤食べそうになったくらい。それに八百屋さんも高級スーパーに比べるとぐっと安いの。今日もそれらを狙いつつ、最大の目的は初めて行くんだけど、毎月決まった日時にお刺身を特売している魚屋よ。

ひなびた商店街の魚屋でまさかの⋯⋯

あら、スタート時間を目がけて来たのにもう随分並んでるじゃない。いつもこんななのかしら? でも、このひなびた通りにこんな人出があるのは初めて見たから違うわね。

「よ、お姉さん、いらっしゃい、何にするかい?」

「え〜っと、まぐろといさきで」 

「悪いけどお姉さん、自分で計算してくれるかな?」 

「は? 私がですか? え〜っと、1,750円ですかね」 

「ところで、お姉さんはどれくらいの時間並んだんだい?」

「う〜ん、15分くらいですかね」  

「どうしたらいいかな〜? こんなに大勢に並んでもらっちゃってさ、悪いよね〜。困ったな〜(ニマニマ)」

「このご時世に大繁盛じゃないですか」

「ホイ、ありがとな! いや〜、それにしてもホント困っちゃったな〜(ホクホク)」

オヤジさんの喜びダダ漏れ具合といい、いや〜な予感がするわ。しかも別に安くない・・・・・・、それに一歩足を踏み入れたら、大昔にとんねるずがやってた “きたなシュラン”に認定できそうな店内・・・・・・。入った途端、ヤバい!とは思ったんだけど、後ろにがっちり並ばれてて店から出ることもできず・・・・・・でもそれって日本人的な思考よね。ふっ〜、やっちゃったかしらね。自粛生活でセンサーの効きが悪くなってるのかもしれないわ。やれやれ。皆さんもお気をつけて〜。

【今月のレヴュー飲み】人間らしい生活を取り戻す


Stay Homeでの大きな気づきは、これからの時間とお金の使い方ね。コロナ前は本業が忙しくて、口飽きしてるって思いながらもお惣菜やお弁当で済ませたり、外食をすることも多かったの。新しい話題の店にいち早く行ったこととか、SNSで少し自慢したかったのかもしれない。もともと料理は趣味みたいなものだったんだけど、食材をまとめ買いして、効率よくメニューを決めて作ることが改めて楽しいと感じたわ。もちろん経済的だし、できたてはやっぱり美味しいから。

これまでの生活の流れがこんな風に断ち切れなければ、惰性で同じことを続けていたかもしれないわね。そんなにお金を使わなくても生きていけることもわかったし、眠る時間も奪われながら、がむしゃらに仕事することも考え直したいの。とにかく私は人間らしい生活を取り戻すことにしたわ、そもそも目指していたイタリア的な豊かな生活を実現したいと思ってる。

「で、例のお刺身は?」あ、あれね。案の定、さばき方、鮮度も含め、お叱りしたいレベルだったわ。でもそこはアイデアでカバーよ。ヅケにして、きゅうりや卵焼きと一緒にサイコロサイズに切って、ばらちらしにしてみたの。ただの酢飯じゃなくて、ケールを刻んでご飯に混ぜるのがポイント。かすかな苦味が新鮮よ。さ、魚料理に合うキリッと冷えた白ワインとともに、ニューノーマルの時代に進みましょ。

●おすすめワイン
モンテ・デル・フラ クストーザ    

今月の一本は、ぶどう品種、ガルガネーガを主体に複数のぶどうをブレンドした白ワイン「クストーザ」です。モンテ・デル・フラ社はロミオとジュリエットで知られるヴェローナから15kmほど、ガルダ湖近郊のクストーザ村で1958年に創業。ぶどうと畑の相性の研究を重ねた結果、現在では140haもの土地で高品質なぶどうの生産に成功している、この地域最大の家族経営のワイナリーです。また通常ワインの品質保持のために科学的処置で使われる亜硫酸塩を、法定許容量の1/3(白)、1/2(赤)まで減らし、健全なワイン造りを行っています。

この「クストーザ」は緑の輝きを帯びた麦わら色で、リンゴやグレープフルーツのさっぱりとした柑橘のアロマが香り、味わい深く爽やかな辛口の白ワイン。食前酒はもちろん、さまざまな前菜、甲殻類や魚の料理にぴったりです。

Monte Del Fra Custoza
ヴェネト州
ガルガネーガ40%、トレッビアーノ・トスカーノ15%、トレビアネッロ15%、コルテーゼ他30%
750ml ¥1,700(参考小売価格)

お問い合わせ先
フードライナー
TEL:078-858-2043

文/ジョバンナ洋子
イラスト/ユリコフ・カワヒロ

ジョバンナ洋子
ナビゲーター
ジョバンナ洋子
移ろいゆく世の中を見守る、元お叱りバー(架空)のママ。本業はファッションエディター。 GINGER Webでの連載も3年目に突入しリニューアル。各地で遭遇する日常の事件をきっかけに感じる新しい価値観を、ユニークに伝えていく。
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