大切に育んだ運命のプラトニックラブ!のはずが・・・?

“大人のフリ”して放置(我慢したり、見て見ぬふりしたり)せず、煩わしい人間関係をぶった斬り、好きな人たちとだけ生きていく——。そんな“自分基準”を掲げて、人生を楽しく、生きやすくしていきませんか?


脚本家 岸本鮎佳さんの連載「私、幸せになるんで。はい、サヨウナラ」。あなたの人間関係やモノ付き合いの整理整頓&取捨選択に際し、ぜひご参考に!(編集部)

vol.06 「永遠に流され続ける男〜嗚呼、川の流れのように〜」

友情から始まる恋愛があり派かなし派か、はっきりと分かれると思う。

実際、「友達から恋愛に発展した」というカップルは、この世に決して少なくない。

でも私は、圧倒的に「なし派」だった。

出会った瞬間に、その人のことをオスだと思えなければ、この先もオスだと思うことはない。

でも私は過去に一度だけ、「友達から恋愛に発展した」という経験がある。
結論から言うと、正直思い出したくもない恋愛だ。

でももし、あの恋愛がうまくいっていたら・・・想像するだけで恐ろしい『流され続ける男』の話・・・。

*****

この男・・・今までの男と全然違うわ!!! これが、俗に言うビビビという感覚ね!!!

私がその感覚を感じたのは、もともとただの友達の男だった。

・性格的に合う
・趣味も合う
・食の趣味が合う
・笑いのツボも合う
・嫌いな人も合う
・お互いを性的対象に見れる
・お互い仕事の話も出来て、高め合える

こんなに「合う」人と出会えたならば、当然のことながら付き合う・・・いや、もう結婚するしかないでしょう!というか、これぞ運命!でしょ!!!と。

きっと彼も同じように感じてたというのは、私の単なる思い込みではない。
彼は、もともとよく飲みに行く仲間内の一人だった。

水族館とか美術館とか、デートでいくような場所に週に1回は必ず行ってたし、食事に行けば話が止まらなくて朝まで飲んだし、連絡は毎日取っていた。

それに、身体の関係は一切なかった。(ここ、ポイント)

それは、きっとお互いに慎重になっているからだし、もともと友人だし、勢いで、何かが起きて気まずい関係になりたくないからだ、という確信が私のなかにあった。

イコールそれは大事にされている証拠だし? 硬派だし?

なにより私は、そんな所謂「プラトニックな関係」が気に入っていた。
俗に言う「友達以上恋人未満の関係」とは違う。

あくまで、「お互いに好意があるけれども、まだ身体の関係も持っていない(ここ、ポイント)関係」だということ。

でも、それはあくまでいずれ「付き合うことになる」というクライマックスを迎える、というのが大前提だった。


私は、毎週彼に告白されるのを待った。
でも、その「プラトニックな関係」は変わらなかった。

それが半年続いたある日、しびれを切らした私は彼に聞いてみた。

私 「私のこと、どう思ってる?」

こんなベタすぎるセリフをハッキリと・・・。

すると・・・

彼 「大好きだよ」

ほら!!!

ほら!!! 当たった!!! やっぱ好きなんじゃん? 私のこと!

彼 「・・・でも、今の彼女と結婚しなきゃいけないからさ・・・」


私 「・・・え? ごめんなさい(聞こえなかった)」

彼 「こんなこと言ったらあれなんだけどさ、正直結婚していいのか、迷ってるんだよね・・・」

私 「(え? ごめんなさい、そうじゃなくて—)彼女いたんだ・・・」

彼 「・・・うん、ごめんなんか・・・言いづらくて・・・」

私 「そっか・・・」


正直、この時点で私はもうすでに頭が恋愛に侵されていたので、彼女がいるいないはどうでも良かった。

というか、当たり前に彼女と別れるだろうと高を括っていた。

だって、そうじゃなきゃおかしいもの!
確実に恋愛対象だとお互いに感じていながらも、この半年間会い続けていたことへの理屈が通らない。

ただの浮気心だったら、さっさとセックスするはずだし、何も興味がないただの友達であれば、週一では会わないし、毎日LINEもしないじゃない! え!? 何か、間違ってる!?

そんな、すがるような気持ちで、私は彼を説得した。というか、私と付き合った方が、どれほど豊かなことなのか、数時間安い居酒屋のハイボールを煽りながら彼に訴え続けた。


その結果・・・

彼 「・・・わかった。明日、彼女と別れ話してくる・・・だから、信じて待ってて欲しい」

わかればいいのよ・・・

まるで、戦地に送り出すような気持ちで、私は彼の背中を押した。


次の日の夜・・・
彼から電話がかかってきた。

彼 「・・・話したよ」

私 「うん・・・で?」

彼 「やっぱり、もう一回やり直してみることにした・・・」


私 「・・・は?」

彼 「8時間話し合ったんだ・・・そうしたら、付き合ってから初めてお互いの本音を言い合えたっていうか・・・」

私 「・・・」

彼 「彼女、すごく悩んでたみたいでさ」

私 「・・・」

彼 「俺も逃げてたっていうか・・・」


その後はずっと彼女の話。

いや、逃げたとかそういう問題じゃない。
本音を言い合えた? そんな事じゃなくて・・・

お前は・・・流されたんだよ?

私に流され、彼女に流され、彼の意思はどこにもない。
結局自分のことを信用していない。

そんな流され続ける男と付き合っても、いいことなど一つもないだろう。

ご愁傷さま。

神様、ありがとう。こんな男と付き合ってたら、人生が台無しになるところだった。
お前のような、優柔不断野郎は、一生流され続けるが良い。

流され続ける男・・・はい、サヨウナラ・・・。

文/岸本鮎佳

岸本鮎佳/脚本家
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岸本鮎佳/脚本家
脚本家・劇作家・演出家・女優。演劇ユニット「艶∞ポリス」主宰。女性独特かつ綿密な人間観察を土台に作り上げる会話劇を得意とし、笑いを織り交ぜたスタイリッシュな作風で幅広いファンをつかむ。主宰する舞台では、脚本、演出、出演をこなし、近年は映像の脚本も手掛けるなど、その多彩な才能を発揮。InterFM897のレギュラー番組 岸本鮎佳と渋江譲二「艶っぽい夜」(毎週木曜23:00~ / https://www.interfm.co.jp/tsuya )も大好評。10月スタートのドラマパラビ「だから私はメイクする」(テレビ東京)で監督を務める。
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