ドッグラバーはそれこそ世界中にいて、かけがえのないパートナーとして愛犬と仲睦まじく暮らしています。パリの街にもそんな幸せそうな、飼い主&犬のカップルやファミリーがたくさん。その素敵な関係を、ちょこっと覗き見。
パリ11区の小さな公園にて
ここはパリ11区、リシャール ルノワール通り沿いにある公園の砂場。近所の犬たちが集まる、憩いのスポットです。
― あの、ちょっといいですか?
はい?(不信感)
―暑いですね~。この前なんて42.6度までいっちゃって、パリの最高気温の記録が更新されちゃいましたけど。72年ぶりに記録が塗り替えられたって、よくわかんないけど、なんだかすごいですよね。(警戒心を解くために、いきなりぺらぺら)
・・・・・・。
―あ、お名前を聞いていいですか?
ワタシ? アンジーだけど。今年で8歳。っていうと、人間ってすぐに「人間でいうと、何歳?」って聞いてくるのよね。
―すみません、何歳ですか?
ほら、やっぱり。・・・50代前半だってうちの飼い主が言ってた。だから、この暑さもキツいのよ。
―パリ暮らしは長いんですか、マダム?
アンジーでいいわよ。マダムだなんて、やめて。
生まれたのは南フランスのトゥーロンっていう、すごーく海のきれいな街。ワタシはシェパードとの混血雑種なの。カッコよくいうと、ミックスね。パパとママのどちらが純潔種なのかは、知らないわ。小さい時から親や兄弟と離れて飼われていたし。ワタシ、その最初の飼い主の方とは気が合わなくってさ。
でね、電車に乗ってパリに来て。そして今の飼い主のもとにきたわけ。
(やや表情が寂しげに・・・)
―あ、つらい過去を思い出させちゃいましたかね? すみません・・・
いえ、別に。
さっきからワタシの写真を撮ってるけどさ、私は写真撮られるのが好きだけど、飼い主は写真嫌いで、あまり一緒に写ってくれないの。素敵な人なんですよ、後ろの彼女です。
パリではいつもは家の周りとかちょっとしたお散歩なんだけど、週末はパリから近い森とかに連れて行ってくれて、いっぱい遊ばせてもらえるから満足してる。たくさん運動をするの、大好き。
―健康的でいいですね。お元気そうだし。
ちょっと、年寄り扱いはやめてよ。苦手なのは・・・散歩の途中に出会う、小さくてよく吠える犬! ああいうコたちって、すぐ興奮しちゃうから。なだめようとして近くに寄ると、もっとエスカレートするし。だから最近は、目を合わせないようにしてるんだ~あはは。
今の飼い主はね、ワタシが鳥肉が好きって知っていて、週末はご馳走してくれるんだ♪ 普段は、乾燥餌なんですけどね。
—乾燥餌・・・、ドッグフードですね。
そうともいう。
―話し相手になってくれて、ありがとうございました。
なんか、くれるの?
―あ・・・、今なにも持ってなくて・・・。
・・・最低。
―すみません・・・。
人見知りなのかな・・・シャイな飼い主さんと、人懐っこいアンジー。公園でも付かず離れずな感じの絶妙な距離感が、とてもいいかんじの微笑ましいコンビでした。次回は、何かおやつをポケットに忍ばせていこう・・・と反省しつつ。
またお会いしましょう!