ファッションエディター&ライターの江口暁子さんの連載。日々のセレブウォッチから読み解いたトレンドをご紹介。
NYからスタートした2022年春夏のファッションウィークは10月初めにパリで終わり、早くも来春のトレンドが話題になっているモード界。春のトレンドカラーは、近頃すっかり主役の座を独占しているグリーンが引き続き本命だと噂されていますが、もう1色、ランウェイでひときわ目立っていたのが、オレンジ。元気で明るく、エネルギッシュなパワーがあるのはもちろん、安心感や温かみがある魅惑的なカラーを、各会場に集まるファッショニスタたちもこぞって取り入れていたようです。
ダーヤ・ブラニク
NYに先駆け、8月上旬に開催されたコペンハーゲン・ファッションウィーク中、最旬カラーコーデでとびきり注目を集めたのは、ロシア出身ノルウェー育ちのファッションジャーナリスト、ダーヤ。鮮やかなオレンジのビッグブレザーに、“ケリーグリーン”と呼ばれる明るいビタミンカラーのショートパンツを合わせて、“おいしそう”な配色に仕上げています。シンプルな白Tをインナーに選んで抜け感を作っているのも技あり。シックなダークグレーのプラダのミニバッグがむしろ“差し色”になっていますね。
アナベル・ローゼンダール
同じくコペンハーゲン・ファッションウィークのストリートスナップで人目を引いていたのは、ディレクター兼バイヤーとして活躍するノルウェー出身のアナベル。眩しいくらいビビッドなネオンオレンジのシャツワンピースは、ミラノ発ジ・アッティコのもので、ロゴマークの総ジャカードがアクセントになっています。ミニサイズでさりげなくカラーリンクしたエルメスの「ケリー」バッグでアップグレードしつつ、おもちゃのようなフレームのサングラスでグリーンをミックスして、遊び心を。
ギッタ・バンコ
ドイツを拠点とするファッションブロガー兼スタイリストのギッタは、いち早くタートルニットで注目色オレンジをキャッチ。温かみのある発色と編み感がニュアンスを添える1枚はデュッセルドルフ発SEM PER LEIのもの。色落ちがカジュアルなR13のウォッシュデニムで引き立てています。小物はパープルで揃えて、新鮮なカラーミックスを実現。ボッテガ・ヴェネタのメガヒット作「ザ・ポーチ」はスモールサイズで控えめに、足元はジ・アッティコのアンクルストラップパンプスできれいめにフィニッシュ。
ペルニーレ・タイスベック
コペンハーゲン・ファッションウィークで、パンチの効いたオレンジレザーのタイトミニ姿を披露した、地元出身の元祖ファッションブロガー、ペルニーレ。普段、定番色がメインの彼女が珍しく、この日の主役に選んだ派手可愛いスカートは、デンマークの人気ブランド、サックスポッツのもの。カラーリンクしたとんがりトゥパンプスは、ナイロン素材のトライアングルロゴがレアなプラダ、オレンジと好相性な優しいミルク色のニットもシャネルのロゴマーク入りで、さらりとブランドミックス。
アネット・ウェバー
ファッション誌の元編集長で、ドイツモードシーンのセレブジャーナリスト、アネットは、リラックスしたアスレジャースタイルにオレンジを投入。インパクト抜群なネオンカラーのスウェットは、彼女がコラボを手掛けているカジュアルブランド、JUVIAのもの。ミュンヘン発のカシミアブランド、アルードのエフォートレスなゆったりニットを合わせて、大人らしく、上質感を漂わせています。やわらかなオフホワイト色も上品ですね。ヴァレンティノの「ロックスタッズ」パンプスをスパイスに、洗練度アップ。
ソニア・ライソン
そろそろ気になる冬小物、続々とインフルエンサーたちが先取りしている、最注目アイテムがこちら。ポーチつきのコンバットブーツがブームになったプラダから、今シーズン登場したポーチつきのレザーグローブ。ドイツのファッションブロガー、ソニアはオーバーサイズのブラックコートに合わせて、トライアングルロゴがきらりと光るキュートなオレンジグローブをアピールしています。スマホケースとのロゴリンクが、モードなポイントになっていますね。
秋冬は落ち着いたダークカラーが似合う季節ですが、明るい色に元気をもらいたい日もありますよね。楽しげで、ポジティブなイメージがあるオレンジは、そんな日にぴったり。今、一番人気ともいえるHOTなカラー、グリーンとも相性抜群なだけでなく、主役としても存在感があり、旬のフルーツを思わせる色だからか、秋の気分にもしっくりとなじみそうです!
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