本当は興味津々なのに、決して踏み出せない――芸人 紺野ぶるまさんの自分観察。【連載「奥歯に女が詰まってる」】
第52回 二軍時代から変わらない女
「へえ、あの人女性用風俗とか行ってるんだ〜…」
なんてちょっと上から物を言ってる自分にがっかりする。
自分の稼いだお金で快楽を得る。それももちろん合法的に。結婚をしているのなら尚更、満たされない欲求を不倫という形ではなく、誰も傷つけないように解消するという賢明な判断なはずなのに。
「そういう一面もあるんだ〜」なんて弱みを知った気になってしまう。
男性が既婚だろうが風俗に行くことはもう何も思わない。そんな記事も最近は見かけない。好きな男が風俗に行くのがありかなしかの議論にもすっかり飽きている今「じゃあ女が風俗に行くのは?」と投げかけられたら全く別の話として捉えてしまうのはどうしてだろうか。
「まあ最近はね、そういうのもありな時代だから…」なんて濁すあとに続く大人の本心は「とはいえ別世界の話」ではないだろうか。
私自身「女にも性欲はあるんだからもっと当たり前になってくれよ!」という心意気は持ち合わせているが、やはり心の奥底で女性用風俗に誰かが行くことは大事の中の大事。
どこかの国の大富豪とか、AbemaTVの中だけの話だと思っている節がある。
指名した人と写真が違ったらどうしようとか考えなかったのかな、テンパったりしないのかな、てかなにをどこまでするのだろう?
つべこべ言ってる後に続く私の本心は「是が非でも行ってみたい」なのである。
だけどまだ怖さに勝るほどの勇ましい欲求と、経済力とそれを後押ししてくるような楽しい交友関係もない。
つまるところ高校時代の「あの子大学生と付き合ってるらしいよ、やばくな〜い?」と一軍女子に引いている二軍時代から何も変わっていないように思う。
結局は指くわえてその基地を見上げている状態なのだから、その存在が当たり前になった頃に「まあ流行ってるし」と初めてタピオカを飲む要領で味見をするのだと思う。
想像するに日々感じる老いへの虚しさとか人間特有の退屈だとか大体のことを解決してくれそうな気がしてる。
書いてて自分でも驚いているが、めちゃくちゃ期待している。
早くそんな時代になってくれと、人任せにして今か今かと待っているのだ。
最後に
人生とかけまして
作家と解きます。
その心はどちらも隠し事がつきものです。
今日も女たちに幸せが訪れますように。