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TIMELESSPERSON

2022.12.23

名作「silent」が生まれるまで。脚本家&プロデューサーを独占取材!

今期最も話題のドラマ「silent」。この作品がデビューとなる脚本家・生方美久さんと、彼女を見出したプロデューサー・村瀬健さんに、ドラマに込めた思いや、作品の裏側について語っていただいた。

silent

この人と何かを作りたい。その思いが名作を生み出した

――生方さんがこのドラマの脚本を書くことになったきっかけは?

プロデューサー 村瀬健さん(以下、敬称略) フジテレビのヤングシナリオ大賞というシナリオコンクールがあるのですが、僕はそれの審査員をやっていて。2021年に生方さんの応募作を読んだとき、「この人とドラマを作りたい!」と思ったんです。彼女の脚本はもう別格で、セリフも魅力的だし全体の構造が素晴らしかった。

脚本家 生方美久さん(以下、敬称略) 受賞の前に一度フジテレビで面接のようなものがあり、それが終わったあと、帰ろうとエレベーター前にいた私を村瀬さんが追いかけてきて、「脚本、すごい良かった。何か一緒にやりましょう」と言ってくださったんですが…。

村瀬 詐欺だと思ったんでしょ?

生方 はい(笑)。面接で知らないおじさんたちにいろいろ聞かれてそれだけでも怖いなと思っていたところ、そのなかの人がいきなり追いかけてくるって…。その後「連ドラやりましょう」と電話をくださったんですが、正直全然信じられませんでした。

村瀬 彼女は絶対に面白いものを書ける人だと思ったので、とにかく何かを一緒にやりたかった。なので定期的に会って、好きなドラマについて話してもらったり、過去に書いた脚本を読ませてもらったりしていたところ、僕に「木曜10時の連ドラをやらない?」という話が回ってきたので、じゃあもう生方さんをデビューさせちゃおうと決めて(笑)、そこからふたりであれこれ企画を練っていったんです。

――聴覚障がい者のラブストーリーというのは、どちらからのアイデアですか?

村瀬 僕です。そこまでいろんなテーマを提示していたんですが、生方さんの反応はあまり良くなくて(笑)。そんななかで、僕が以前書いた、なんとなくこんなドラマやりたい、という〈企画メモ〉のなかに、“障がいのある人とのラブストーリー”をテーマにしたものがあって、それを生方さんに見せて、「耳が聞こえない人の恋愛を描くのはどう?」と提案したら、「考えてみます」と。あと、川口春奈さんと目黒蓮さんでやりたいと思っていたので、それも伝えました。

――物語の種を受け取った生方さんは、それをどう育てたのですか?

生方 一気にわーっというよりは、じわじわですね。とりあえず書き始めつつ、川口さんと目黒さんの動画をたくさん見て、どんなキャラクターがハマるかも考える。ストーリーとキャラクターを同時に作っていく感じでした。

――目黒さんが演じる佐倉想を耳が聞こえなくなる役にした理由は?

生方 私が思う目黒さんって、しゃべっていなくてもとても存在感がある人なので、セリフをしゃべらないキャラクターがハマるのでは、と思ったのがまずひとつ。それから、目黒さんの役が聴覚障がいを持つ人となると、ヒロインはきっと泣くシーンが多くなると思ったんですが、川口さんって、泣く芝居が本当に上手な印象があったので、きっとこの物語でも、いろんな涙を見せてくれるのでは、という思いもありました。実際このドラマでも、すべてのシーンで泣き方が違うんです。毎回、本当にすごいなと思っています。

「silent」(サイレント)
出演/川口春奈、目黒蓮(Snow Man)、鈴鹿央士、夏帆、風間俊介、篠原涼子ほか
主人公の青羽紬(川口)は8年前に最愛の恋人・佐倉想(目黒)と別離。新たな人生を歩もうとしていたとき、偶然町中で想を目撃。実は彼は8年の間に病気で聴覚をほとんど失っていた。音のない世界で出会い直すふたりと、彼らを取り巻く人々の物語。

生方美久(うぶかたみく)
1993年5月10日生まれ、群馬県出身。看護師や映画館でアルバイトをしながら脚本を学び、第33回フジテレビヤングシナリオ大賞の大賞受賞。

村瀬健(むらせけん)
フジテレビドラマ・映画プロデューサー。日本テレビで「14才の母」などを手がけた後、フジテレビに移籍。代表作にドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」、ドラマ・映画「信長協奏曲」、映画「キャラクター」など。

PHOTO=高嶋佳代

TEXT=河野友紀

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