ひとり旅は自分をリセットさせてくれるかけがえのない時間。これまでの旅の経験から、考えたことや感じたこと、学んできたことを綴る連載『ひとり旅×松本まりか=THINK CLEARLY』。
前回に続いて、「松本まりかクリスマス24時間生テレビ~24時間で恋愛ドラマは完成できるのか!?~」(Abema TV)のお話です。
撮影の裏側を見せながら、24時間以内に1本のドラマを完成させようという企画。番組のグランドフィナーレは、ドラマ部分を生で演じて、そのまま生配信することになっていました。最終章のお相手の彼氏役は野村周平くん。それまでの23時間は、あまりミスもなく、なんとか乗り切ったのですが、最後の生配信ドラマで、私はセリフを間違えてしまいました。もちろん、やり直しはできません。
どうしよう、と咄嗟に思いました。なぜまた、ここで…。
でも、演じている最中に役の気持ちを途切れさせるわけにはいきません。ほんの数秒の間に、頭のなかをたくさんの思いが駆け巡りました。
フィギュアスケートから気付かされること。
話は少しそれますが、私は昔から、フィギュアスケートを観るのが好きです。フィギュアの試合で感動するのは、パーフェクトな演技をしているときとは限りません。たとえジャンプでミスをしたとしても、そのミスをも力にして最高の演技を続けようとする姿に、私は心が震えます。
私は「24時間生テレビ」でセリフを間違えてしまったときに、咄嗟にそのことを思い出しました。最初のジャンプで転んでしまっても、それを凌駕する演技を、そのあとに見せてくれた選手のように、私も全力で演じようと。
周平くんと共演するのはこのときが初めてでしたが、素晴らしい俳優さんで、演じるたびに心を動かされました。はじめましての人であるかや、よく知る人かどうかではなく、役のセリフを交わすことで、その人と心が通じるような気がします。
心が震わされる、心が動かされる、それが私にとって「楽しい」ということです。演技ってやっぱりすごく自由で楽しいものだなと改めて思いました。
鈴木おさむさんからオファーをされたとき、自分がそんな大きな企画を背負えるなんて思えず、不安でした。それでも「大丈夫」と言ってくれた、おさむさんを信じたいと思い、この企画に身を投じてみました。そうしたことで、想像を超えた素晴らしい体験ができました。
誰かの提案に乗る、というのは自分のキャパシティを広げていくうえでは必要なことなんだなと、今回気付きました。自分自身よりも周囲のほうが、私のことを客観的に見てくれています。
人の提案に乗るかどうかの判断には直感を使います。「このお誘いに乗ってみよう」という直感。
それは、私は旅でさんざん鍛えられた感覚のように思います。「この国に行ってみよう」「このホテルに泊まってみよう」。直感が「こっちにしたら?」と私に教えてくれます。ハプニングも含め、そうして選んできた道が、私の人生をより豊かなものにしてくれました。失敗を恐れず、これからもいろんな提案に乗って、新しい景色を見られたらと思います。
素晴らしいプレゼント
松本まりか(まつもとまりか)
女優。ドラマ『ホリデイラブ』の井筒里奈役で一躍注目を集める。Amazon Primeにて配信中の『雨に叫べば』にて主演を務める。短編映画『MIRRORLIAR FILES Season2』が順次公開中。土曜ナイトドラマ『妖怪シェアハウスー帰ってきたん怪ー』が放映中。
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