女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で世の女たちの生き様を観察します。
第39回 誇れ!「旦那さん大好き!」女
「私、旦那さんが大好きで、毎日愛を伝えてるんです」
そんな風にテレビ番組で話す女性タレントに、スタジオの風当たりはいつも冷たい。
「イタイ女」扱いをされ「はいはい、のろけはいいから」と言ったように雑に会話が流れていく。
鬼嫁エピソードや旦那の悪口の方がよっぽどウケがよく、「よくぞ言ってくれました!」と代弁者のように慕われる。
だけど冷静に考えたら「旦那さん大好き」ってめちゃくちゃすごいことではないだろうか?
衣食住や子育てなどを共にし、生活のすべてを垣間見ても「好き」だなんて、「うざい」とこぼすよりもよっぽど稀有だ。
男性が「奥さん大好き!」と話せば愛妻家と褒められ、好感度が上がり、シャンプーや消臭剤のCMが決まっていくのに、愛夫家はそうもいかない。
おそらく根底に男は浮気して当然の生き物、女は旦那一筋で当たり前、ほかの男に興味がないという常識がはびこっているからではないだろうか。
そこから訂正していかないといけないのだ。
妻になろうが、母になろうが、花屋の店先でイケメンがかすみ草に笑いかけてたら二度見する。少しやんちゃそうな男性が、ちゃんとゴミの分別とかしていたらビンカンに反応する。
旦那大好きで当たり前かどうかは人によるのだ。だからもっと「旦那大好き」を褒めてもいい。「旦那大好き」妻だって、やすやすといじられてないで、もっと誇って「当たり前じゃねえかんな」と蹴散らしていいのである。
これまで指輪をわざとちらつかせ「嫁大好き」と語ることで、モテようとする男性を恵比寿横丁や、銀座の一角で散々見てきた。
いつか「旦那を愛している」と話す女性も、魅力にあふれモテる時代が来るといいと願っている。
最後に
“愛夫家”とかけまして
“結果よりも大事なことに気付いている人”と解きます。
その心は、“どちらも家庭(過程)を大事にする”でしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。
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