生まれながらの伸びやかな歌声と恵まれた体躯を武器に、ミュージカルの世界に飛び込んだ甲斐翔真さん。映像とは違った“生”の芝居に全身全霊で立ち向かう彼の言葉に誘われて、舞台芸術の奥深い魅力を覗いてみませんか?
演者と観客が隔たることなく、同じ空気を味わえるのが生の素晴らしさ
「血が通い、呼吸をする生身の人間が、お客さんと空間をともにしながら芝居を繰り広げることがミュージカルの醍醐味だと感じています。また稽古を通して何度も失敗を繰り返しながら、進化していくさまを包み隠さず届けられるのも大きな魅力。全身に電気が流れるような感覚は、ほかでは味わえない」
楽しめる心があれば、どこまでもいける
「舞台はお客さんの前に立ち続けるエネルギーが必要だし、対峙したときにごまかしはきかない。映像作品で役者としてデビューした僕にとっては、凄まじく厳しい世界だと想像ができたんです。
ところが思ったよりも早く機会に恵まれて、この道を歩むことに。歌やダンスを専門的に学んできたわけではないので、レジェンドと呼ばれるキャストの皆さんたちのなかで揉まれて、ただひたすらに学ぶ毎日。まさに100のレッスンより1の本番です。
今の僕にできるのはただ一つで、『最善をつくすこと』。作品に入っているとき、SNSを通して演劇を愛するファンの方から率直な意見や感想を募集しています。そのメッセージにすべて目を通して、足りない部分は補えるように、できる努力を重ねています。すると初日と千秋楽とでは大きな変化があって、改めて観てくださる方たちのおかげで成長できているなと痛感します。そして、好きなミュージカルを好きだと思い続けられること、楽しめる心があれば、どこまでもいけるだろうと信じています」
ストーリーを予習したほうが面白いし、充実度も高まるはず
「『ロミオ&ジュリエット』はミュージカルデビューにふさわしい作品。知っているストーリーだと断然メッセージを受け取りやすく、世界観に没頭できます。チケットの価値を高めることは自分でも可能。おすすめは友達数人と行くこと。観劇後に感想を言い合えるし、自分の気付き以外の面白さを共有できますから。
僕も演じる側として、命懸けで想いをセリフと歌に込めます。『お客さんにとっては一生に一回の機会かもしれない』と思うと集中力が研ぎ澄まされる。全員に『来て良かった』と思ってもらいたい」
甲斐翔真(かいしょうま)
1997年11月14日生まれ、東京都出身。2016年にドラマデビュー後、数多くの映像作品で活躍。’20年に『デスノート THE MUSICAL』にて初のミュージカル出演で主演に抜擢。主なミュージカル作品に、『RENT』『マリー・アントワネット』など。5月より、『ロミオ&ジュリエット』の主演が控えている。