お笑い芸人ヒロシさんが日々ソロキャンプの様子をアップするYouTube「ヒロシちゃんねる」。そのチャンネル登録者数は現在105万人。新たなブレイクポイントを迎えたヒロシさんに、これまでを振り返ってもらいました。
テレビに出たくない
もともと人付き合いが苦手だったヒロシさん。ブレイクするために常に考えていたのが「いかに人付き合いをしないで売れるか」ということ。
「芸人は付き合いが避けて通れない仕事。先輩に可愛がられない点で僕は俄然不利。だけど人付き合いはしないって決めてますから、もう自分が面白くなるしかない。一人で完結する、そういうキャラクターを作ろうと考えましたね」
そうして「ヒロシです」のネタで大ブレイク。これまでの生活とは比べものにならないほど大きな金額のお金が舞い込んで、周りの人の態度も激変していった。
「人間に対していろいろ思って、もうどうしていいかわからなくなったんです。自分で自分の仕事の舵をとりたい、そう思ってテレビに出るのをやめました」
テレビに出ない間は、趣味の釣りに行ったりと人間らしい生活を取り戻し、少し気持ちも落ち着いてきたそう。
「だけど、売れなくなったといわれて、また周りからの扱いが変わって。悔しいからもう一度頑張ろうと思いました。誰かが昔、“お笑いは今まで何もいいことのなかったヤツの復讐劇”って言ってましたけど、僕もそう思いますよ」
キャンプとの出合い
子供のころ、両親に連れていってもらって目覚めたキャンプ。大人になってからも当時と変わらないスタイルで続けていたヒロシさん。その様子をYouTubeに上げ始めたのは2015年のこと。徐々に登録者数が増え、お笑いファンだけでなく、キャンプ好きたちもヒロシさんのことを「先生」と呼び、投稿を待ち焦がれる。
「チャンネルを始めたころは、YouTubeをやる芸人は落ち目…みたいな風にいわれていましたけどね。でもやってる人はやっていたし、『落ち目』なんて言っていた人たちが遅れているだけ。やりたくてやっていることが、こんなに多くの人に見られるようになって、うれしいですよね。僕、けっこう計算高いほうなんですけど、こればかりは予想できなかった。ソロキャンプはなんにも考えない時間がいいんですよね」
新たなブレイクポイントを経て、切実に思うことがあるそう。
「YouTubeで新しいファンの方に付いてもらって、すごくうれしい反面、今はいろんなもののスピードが速いから、すぐいなくなるのもわかってるんです。依存せず、期待せず、誰かのせいにしないで、自分の責任で動きたい。簡単なようでとっても難しいことなんです。それが今の僕の夢、ですかね」
自らの人生の舵を取ることの難しさ――。皆さんもヒロシさんの姿を、未来を強い意志で切り拓くためのヒントにしてみてはいかがでしょうか。
ヒロシ(ひろし)
1972年1月23日生まれ、熊本県出身。2005年「ヒロシです」のネタで一世を風靡したのち、’15年にYouTube「ヒロシちゃんねる」を開設。著書に『ひとりで生きていく』(廣済堂出版)、『ヒロシのソロキャンプ ~自分で見つけるキャンプの流儀~』(学研プラス)など。