小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優 多部未華子さんの連載「多部未華子がBOOKコンシェルジュ!」。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します
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vol.36 新しい気持ちになれる本はありますか?
《読者からのリクエスト》
今までと違う時間を過ごした2020年。新しい年になっても、まだまだ不透明なことが多いですが、前向きに、新しい気持ちになれる本を読みたいです。
《多部さんのオススメは・・・》
何があっても前を向いて歩いていく。
どんな経験もいつかは笑い話に!
いよいよ2021年ですね!!! 皆さん、2020年はどのような1年だったでしょうか? 私は、皆さんと同じように初めての経験をたくさんして、感情にも様々な波があった年でした。もちろん楽しいこともたくさんあったけれど、でもやっぱりどちらかといえば、「来年はもっといい年になるといいな・・・」と思わずにはいられない1年だったように思います。
さて! そんな2020年も終わり、新しい年の始まりです。心機一転、新しい気持ちになりたいですよね。私もなりたいです。
群ようこさんの『また明日』は、小学校の同級生5人のそれぞれの人生を老後まで描き、再会するまでの物語。私達よりも少し上の世代のお話です。
この物語は、あらすじがどうこうというよりは、“長く生きていたらいろんなことが起こるよなぁ・・・”と、自分の人生と照らし合わせてしまうような感覚で読みました。
ヤヨイ、タカユキ、ユリコ、カツオ、マスコ。小学生の頃、同じ時間を共に過ごした同級生もそれぞれ全く異なる人生を歩み、そのなかで喜びや苦悩、悲しみに遭遇します。
それって、世代や年齢は関係なく、生きていれば誰しも経験するかもしれないような出来事で、それを受け入れたり、時には解決しないまま人生を歩んでいくこともある。たとえ失敗をしたとしてもそこで終わるのではなく、また前を向いていかなきゃならなかったり・・・。
人生の歩み方はそれぞれ違えど、生きている人間はみんな、そういう悲しみや苦しみを乗り越えたり、はたまた乗り越えきれていないまま、自分の人生を歩まなければならないものなのかもしれないと、しみじみ感じながら読みました。
私も、人生31年。あ、あと少しで32年。きっと、読者の皆さんもそれくらいかな? どうしようもない悲しみや苦しみを、これからもっともっと経験していくと思います。簡単なことではないかもしれないけど、この同級生5人みたいに、「あの時こんなことがあったんだよ」って、どんな経験もいつの日か笑い話に変えられたらいいですよね。
まだまだわからない今後の人生。どうなっていくのでしょうか! とにかく、笑顔の方が格段に多い一日一日を過ごしたいものです。ちなみに私の2021年の目標は、“ゆっくりまったりのんびり過ごす”。とっても浅い目標です(笑)!
今回のオススメ本はこちら!
同じ小学校に通い楽しい時間を共有した5人(女子3、男子2)。成長するに連れて道は分かれ、空白の時間を得てから、還暦近くになって再会! それぞれの人生が描かれ、その悲喜こもごもがジンと胸に響く感動の長編。
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