20歳という若さながら、女優や歌手など幅広いジャンルで活躍する上白石萌歌さん。この冬、声優として2作目となる長編アニメ映画に挑戦する彼女に、アニメやエンタメに対する想いを語ってもらいました。
“当たり前”を失った日々のなかでエンタメの底力に改めて気付いた
ふんわり穏やかな空気まとった上白石萌歌さんが女優としてデビューしたのは、12歳のときのこと。以来、数多くの作品に出演して着実に経験を重ねてきた彼女にとって、この一年はエンタメのあり方を見つめ直す時間だったそう。
「舞台に立つことやライヴを見ることが当たり前のようにできる日々ではなくなって、自分にとって、どれほど大きな存在だったのか思い知らされました。今では現場にも制限が増え、様式が完全に変わってしまったと感じます」
環境の変化に戸惑う一方、そんな状況下であるがゆえにエンタメの存在に救われたと感じる部分もあったのだとか。
「気分が落ちているときにある歌番組を見て、すごく元気をもらったんです。カラカラのスポンジが水を吸い込むみたいに曲のメッセージが染み込んできて、これまで感じたことがないくらい心が動かされた。今は誰もが同じような気持ちで過ごしているからこそ、私も作品を通じて心の栄養になるものを届けたい、という想いが強くなりました」
エンタメが持つ力を改めて実感するなか、『劇場版ポケットモンスター ココ』に声優として参加。初めて劇場で観た映画がポケモンだった上白石さんの根幹をなすシリーズであるともいえ、思い入れもひとしおだという。
「アニメは子供向けだと思われがちですが、このお話は親子のつながりや自然と人間の共存など、大人にもズシリとくる壮大なテーマを掲げている点が素晴らしいところ。生身の人間では再現不能な想像の世界を描くことができるアニメーションという手法自体にも、表現として無限の可能性を感じます。それでいて、どこかに人間らしさがあって人の心に訴えかける作品に仕上がるところが、ポケモンをはじめとする日本のアニメ作品の面白さなのかもしれません」
作品内では10歳の少年・ココを熱演。実際の自分とかけ離れたキャラクターを演じられる点が声の仕事の魅力だといい、学んだことをほかの表現で活かしていきたいと語る萌歌さん。
「声のお仕事は経験が浅く技術もまだないけれど、今回改めて感じたのが"耳から入る情報ほど、人の心に刺さるものはない"ということ。表情や動きも大切ですが、もっと声の表情を考えながらお芝居したいなって思いました」
上白石萌歌(かみしらいしもか)
2000年2月28日生まれ、鹿児島県出身。2012年に女優デビューし、確かな演技力で映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍。繊細で透明感のある歌声を活かし、“adieu”名義でアーティストとしても活動中。
『劇場版ポケットモンスター ココ』
シリーズ23作目となるオリジナルムービーは、ポケモンと人間という種族を超えた親子愛を描く絆の物語。ポケモンに育てられた少年・ココと親代わりのポケモン・ザルードが、葛藤を乗り越え成長していく姿に感動必至。
『劇場版ポケットモンスター ココ』
原案/田尻智
監督/矢嶋哲生
脚本/冨岡淳広、矢嶋哲生
特別出演/上白石萌歌、山寺宏一、中川翔子、中村勘九郎
https://www.pokemon-movie.jp/※12月25日(金)より全国東宝系にて公開