約5年半もの間、宝塚歌劇団花組のトップスターを務めた明日海りおさん。人生の半分以上を男役として過ごし、演じてきた明日海さんだからこそわかる、女性が本当に惹かれる「カッコいい」とは?
“カッコいい”の表現と向き合った、約17年間の日々
中学3年生のとき、ビデオで宝塚の舞台を観たことがきっかけで、その独特な世界観に魅了されたという明日海さん。
「衣装や舞台装置、華麗な歌やダンス・・・どれも衝撃を受けましたが、なかでも女性が演じている“男役”にとても魅力を感じました。実は私の男役の原点は中学生時代にあって、レクリエーションの出し物で『白雪姫』をやったんです。そのとき、女子校だったので『背が高いから王子様の役をやったら?』と薦められて。やってみたら、ものすごくみんなの目がハートになって、『キャー』って言ってくれて・・・人生で初めて男性を演じる快感を得た瞬間でした」
入団後は、日々“カッコいい”の表現と向き合い、約17年間、さまざまな男性を演じてきた。明日海さんが考える、宝塚の男役の魅力とは?
「宝塚の男役は、女性が演じるからこそ“こうあってほしい”という理想を具現化しやすいですよね。いつの時代も変わらない“王道”があるとして、そこに演じる人の個性が入って、さらに今、女性が夢中になっているトレンドも積極的に取り入れています。
例えば、草食系男子、ツンデレ系男子、見た目でいうとメガネとかピンク髪・・・(笑)。流行りを取り入れることで、長年のファンでいてくださる方も飽きない。往年の映画スターから今をときめくアイドルまで・・・何が乙女ゴコロをくすぐっているのかをずっと研究していました。
私自身、男役でいるというよりは本当に男として過ごしている感覚で。そうしているうちに、自然と自分のなかにも“理想の男性像”みたいなものが出来上がっていて“男だったらこんなとき泣いたらカッコ悪いな”とか、普段からそんな風に考えながら生活していましたね(笑)」
Profile
あすみりお
1985年6月26日生まれ、静岡県出身。2003年、宝塚歌劇団に入団。’12年に月組の準トップ、’14年に花組のトップスターに就任し、プリンスから悪役まで幅広く演じる。’19年に退団後は映画『ムーラン』のヒロイン役の日本語吹き替え声優を担当するなど活躍の幅を広げている。
宝塚退団後初の主演舞台で『ポーの一族』に再び挑戦!
主演のエドガー役は、宝塚歌劇初演版で同役を務めた明日海さんが再び挑戦。「約3年の月日が経ち、これまでの経験を活かして、新しい舞台にできればと思っています」
ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』
【原作】萩尾望都『ポーの一族』(小学館フラワーコミックス)
【脚本・演出】小池修一郎(宝塚歌劇団)
【出演】明日海りお、千葉雄大ほか
●大阪公演 2021年1月 @梅田芸術劇場メインホール
●東京公演 2021年2月 @東京国際フォーラム ホールC
https://www.umegei.com/poenoichizoku/