桜木紫乃が直木賞を受賞した同名小説を原作に、『百円の恋』『銃』などで知られる武正晴監督が映画化した『ホテルローヤル』。女優・波瑠さんが演じる主人公を中心に、とあるラブホテルに訪れる人々の人間模様と時代の移り変わりが描かれた作品です。映画の見どころや意気込みを、波瑠さんにインタビュー!
共演者と仲良くなるのを我慢して、一人でラーメンを食べていた
映画『ホテルローヤル』で波瑠さんが演じたのは実家のラブホテルを手伝う雅代。舞台となった広大な釧路湿原のブルーグレーの色彩は行き場がなく、取り残された彼女の心情を映し出しているようです。
主人公の雅代を演じるうえで、気をつけたことはありますか?
「美しい景色も雅代にとっては『世界は狭くてどこにも行けない』という気持ちにさせるものにしか見えない。かといって悲劇のヒロインにもなりきれない曖昧さがあって、そういう中途半端さが彼女の人間味になればいいなと思って演じました。
あと雅代は周りと馴染めないところがあるので、私も共演者さんたちと仲良くなるのを我慢して。余貴美子さんをはじめ素敵な方ばかりでたくさんお話したかったのですが、プライベートな話を避けたり一緒に食事に行く回数を減らして、一人でラーメンを食べていました(笑)」
波瑠さんも10代の頃は「学校が苦手」だったため、閉塞感を感じる雅代の気持ちは理解できるそう。
「私はそこを抜け出したくて、中学一年生のときにこの世界に飛び込み、違う居場所を見つけたんですけど、雅代のような人にアドバイスするとしたら『現状が嫌なら、その理由を考えてみれば』でしょうか。私、相談に乗るのがすごく下手なんです(笑)。『わかるわかる』とか言ってあげたほうがいいんだろうけど、それが言えないのでいいアドバイザーになれないんですよね」
あえて孤独のなかに身を置いての役づくり。波瑠さんの最新作、ぜひ映画館で観てください!
Profile
はる
1991年6月17日生まれ。東京都出身。NHK連続テレビ小説「あさが来た」ほか数々の作品に出演。現在は「♯リモラブ~普通の恋は邪道~」(日本テレビ)で主演を務める。