脚本家 岸本鮎佳さんがサウナへの愛を語り尽くす連載「サウナヴィッチ」。あなたもサウナの魅力を知って、ぜひ愛好者の仲間入りを!
vol.02 ご飯が美味しいサウナ
サウナが苦手だった私は、初めて行ったサウナで、気持ち良さを知ってしまった。
前回の記事で、初めてサウナに行った次の日・・・
朝起きてびっくりしたのが・・・
めちゃくちゃ、よく寝れた・・・。
普段眠りが浅い私は、よく悪夢を見てうなされている。
そんな私が、ここまでぐっすり寝れたのは、久しぶりだった。
だから私は、翌日もまたサウナに入りたいと思ってしまったのだ。
いやいやいや・・・と思うかもしれないが、恐ろしいほど自然に、あの気持ち良すぎる体験をしたい。
怖い怖い怖い・・・こんなにサウナ体験が余韻に残るなんて。
そして、気付いたら、サウナを検索していた。
一番初めに出てきたサイトが「サウナイキタイ」という、全国のサウナを検索できるサイト。
現在地から近くのサウナを検索することが出来る。
「食べログ」のサウナ版のようなものだ。
食事処や休憩スペースがついているような「スーパー銭湯」と、街の至る所にあって浴槽とサウナが付いている「街の銭湯」の二種類が存在している。
何となく、「街の銭湯」は、常連の年輩の皆様が怖そうなイメージがあって、ハードルが高い気がしたので、「スーパー銭湯」を探した。
そこで気になったのが、駒込駅から徒歩30秒の「ロスコ」というサウナ。
レビューを見ると、「ご飯が美味しい」と書いてある。
食いしん坊の私は、これに食いつき、早速友達と「ロスコ」に行く日にちを決めた。
* * *
「ロスコ」は、24時間営業していて、90分、12時間、24時間というコースが選べる。
90分は流石に短いので、12時間コースに。
フロントで入館料¥1,800を払い、2階のロッカールームへ。
新しい施設ではないので、若干レトロ感が漂っているが、中の清掃も行き届いているし、女性専用フロアがちゃんとあるのがいい。
行く時間が遅めだったこともあるが、結構空いてる・・・。
そして、お一人様がかなり多い。
友達同士で来てるのは、私たちぐらいだった。
館内着に着替えて、同じフロアにある浴室へ。
早速サウナが!
決して広くはないし、特別何かがあるわけではないように感じるが、女性専用フロアには浴槽が1つと水風呂。
きた!!! 水風呂!!!と、すでにテンションが上がる私。
え!!! なんか、ライオンの口から水が勢い良く出てる!!!
めちゃくちゃ勢い良く出てる!!! ていうか、水が溢れてる!!!
ちょっと、怖い! でも今日も頑張って水風呂入る!
身体を洗い、いよいよ、サウナへ。
ここのサウナは、テレビがついてて、広さもしっかりあります。
そこまで熱くないので、ゆっくりじっくり入れる。
そして、友達とじっくり裸で語り合えるので、時間はあっという間に過ぎていく。
友人「これ、上がってビール絶対美味いよね!」
キラーン!!! そうでした! 私がここに来たのは、美味しいご飯を食べるため!!
そして、美味しいビールを飲むため!!!
最高かよ!!!
ビールのために耐えて、汗をかいてることが、誇りに思えてきた。
あたしたち! ビールのために、戦ってる!!! カッコいいよ!
そして、ライオンちゃんが頑張ってくれている水風呂へ。
入りたい! 早く水風呂に入りたい!!という気持ちで、もはや躊躇はなく、戦い終えた戦士たちのように、堂々と水風呂に肩まで一気に浸かる女2人。
ぎゃあああああ!!!!!!
んんんなぁあああああ!!!!!!!
つめてぇーーーーー!!!!!!
ライオンちゃんの口から勢い良く出てくる水が、身体を一気に冷やしてくれる。
目が、頭が、一気にシャキーン!!!と覚めるほど刺激的な水風呂!
私、さっきまで何呑気に友達と老後一緒に住もうね?なんて、生温いこと話してたんだ?
まだアラサーだろ? まだまだ人生これからだろ? 何人生諦めたような発言してんだ!?
・・・って、喝を入れられたような、インパクト!
水風呂から出ると、2人とも放心状態・・・
さっきまで、人生について語っていたのに、もう言葉を失うほどの水風呂先輩のインパクトに圧倒され、ただただ、魂が抜けていく自分自身の身体と向き合っていた。
友人「ねぇ・・・」
私「ん・・・?」
友人「・・・ヤバいね」
私「・・・だろ?」
実は、この友人はサウナ初体験。
水風呂も苦手だと言っていた友人が、サウナに耐え、水風呂先輩の洗礼を受け、今魂の抜けたトローンとした表情でこちらを見ている。
・・・なんて、美しいんだ・・・!
このルーティンを3回繰り返し、ついに・・・ビール!!!
お食事コーナーのあるフロアは、広々としていた。
カレー、ラーメン、餃子、野菜炒め、唐揚げ、枝豆、カツ丼、サバ焼き定食、豚汁、そばうどん、スパゲティー、ソフトクリーム・・・正直、ないものを探す方が困難なほど、メニューが豊富。
席についた瞬間、とりあえず、生!を注文し、唐揚げや枝豆、そして気になった豚汁を注文した。
ビールが体の細胞に染み渡っていく。
先ほどの水風呂先輩の洗礼は、この瞬間のためだったのですね。というほどの至福感。
最高。
あまりに美味すぎて、泣けてきた。
何で、こんな最高の娯楽を今までやってこなかったんだ?という後悔。
ほどなくして、運ばれてきた料理もすべて美味しい。
サウナ上りだからというだけじゃない。
ビールのジョッキもキンキンに冷えてるし、揚げたての唐揚げのジューシーさ、そして豚汁の衝撃的な美味しさ!
サウナの後にこんな美味しいおつまみでビール飲めるって、これ以上最高の遊びがこの世にあるか?
さっきまで、老後の安泰をテーマに話していた私たちは、いつの間にか自分たちの夢を語り合っていた。
サウナに入ると、気持ちが前向きになる。
友達とどこで遊ぼうか迷っている女子は、ぜひこういうスーパー銭湯タイプのサウナに行ってみてほしい。
気のおけない友達とゆっくり語り、美味しいお酒とご飯で、幸せになり、いつのまにか気持ちが晴れて、ぐっすり眠れるから。
岸本鮎佳の【サウナヴィッチ】をもっと読む。