小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優の多部未華子さん。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.27 仕事への意欲が薄れています。おすすめのお仕事小説を教えてください!
《読者からのリクエスト》
2020年のスタート時は張り切っていたのですが、世間の盛り上がりと逆行して、なぜかパワーダウンしてしまっている私。仕事も頑張らなくては、と思うのですが、スイッチがはいりません・・・。
達成感を味わったり、楽しい、と
思える仕事に就けることは、奇跡に近い
“そんな日もある”最近の私の口癖です。仕事や人間関係に疲れてしまう日は、誰にでもある。私だけではないと思えれば、気が楽ですよね。私も人間ですから、今日は行きたくないな、ずっと笑顔でいるのは疲れたよ、という日ももちろんあります。そんな時に頭に浮かべるのが“そんな日もある”です。
原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』は、幼馴染の結婚式で素晴らしい祝辞を述べた伝説のスピーチライター・久遠久美に感銘を受け、弟子入りする主人公・二ノ宮こと葉の成長物語なのですが、結末までとても面白く読むことができました。
やはり仕事は自分自身が興味や関心を持ち、更に社長なり上司なり同僚なり、尊敬や信頼できる人が近くにいて、自分のアイディアやセンスが形となって見えたり、達成感を味わえたりすると、どんどん楽しくなっていくものですよね。
でもそれってすごく難しいことで、その気持ちに行き着くまでの仕事に就けることが奇跡に近かったりするものだと思います。
私も、役者という仕事をしていますが、自分がその気持ちになれているのかよく分かっていません。よく分からないまま、16年近くこの仕事をしているのです。役者として生きている時間が、昨年で人生の半分以上になったわけですね。
私の仕事は、たくさんの初めましてとたくさんの学ばなければならないこと、そしてたくさんの挑戦があり、次から次へと新鮮です。
なので、終わりが見えず真摯にひとつひとつ向き合っていたら、こんなにも年月が経ってしまいました。飽きやすい性分の私にはぴったりな仕事なのかもしれませんが、果たしてそれが奇跡なのか・・・。
この小説にはとても素敵な言葉が出てきます。今川幹事長のとある言葉が本当に素敵で、「おぉ・・・言葉の力ってすごいなぁ」と心から感動してしまいました。どんな言葉なのか、今ここに猛烈に載せたいけれど、ぜひ皆さんに読んでみてほしいです。きっと分かると思います。
春に、私も親友の結婚式で祝辞を頼まれていて、今から緊張・・・というか、内容を考えただけで、すでに涙が出てしまいます。伝説のスピーチライターに倣って、心のこもった祝辞ができるよう頑張ります。
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