私たちは生まれながらにして“女”である。その事実が当たり前すぎて、人生の醍醐味に気付けていないのかもしれない。 女だからこその楽しみ方を知ることができたら、何気ない日常も変わって見えるはず。 女であることを謳歌している先輩から、もっと自分を輝かせる人生のヒントを学びましょう。
男役のスターとして活躍し、宝塚を引退して早4年になる柚希礼音さん。自分らしくキャリアを積み重ねてきた彼女が、苦悩しながらたどり着いた「“女性”がこんなに楽しいなんて!」という思いを語ってくれました。
自分に正直になったら、眠っていた“女の顔“が目を覚ました
18歳で宝塚音楽学校に入学してから、35歳で卒業するまでの16年間、ひたすら
女性が求める男性美を追求してきた。しかし卒業とともに、今度は男役ではなく“女優”としての人生を歩み始める。“中の人”は昔と変わらず女性なのに、最初はその環境を自分自身どう受け止めていいかわからなかったという。
「役者を20年以上やってきて、その16年間、男性を演じてきたわけです。だから女性をどう演じていいのか正直迷いました。女性として可愛く見せなくちゃいけないんじゃないか・・・。でも、ファンは男役時代のカッコよさを求めているのだから、その気持ちを壊してはいけない・・・とも思ったりで」
女優として自分をどう魅せるのか迷っていたとき『マタ・ハリ』という舞台が大きな転機になった。そのときに思わぬ言葉をある人から言われたという。
「無意識に大勢の人に好かれる芝居をする癖がついている、と指摘されたんで
す。確かに宝塚のときにはファンの方たちがどう感じるかは大きな尺度でした。卒業しても、それが私を知らず知らずに縛っていたのかもしれません」
その指摘で目覚めた柚希さんは、無意識に好かれようと思う気持ちを封印して
みることにしたという。
「素の自分をもっと出してみようと。自分が動きたいように、動いてみる。最初はファンの方の声は少し怖かった。でも皆さん、新しい私も素敵だって受け入れてくれて。そんな風にひとつひとつ女優の仕事を続けていくなかで、素の自分との誤差がなくなって、中と外の自分がひとつになっていく感覚がありました」
そして今、16年間封印してきた女の楽しみを今、満喫しまくっているという。
「男役時代はスカート禁止でしたからいつもパンツでした。でも今はスカートもはきます。だって本当に楽ちんだし、華やかにも見える。そして、そんな服を着たらノーメイクってわけにはいかないし、ネイルもキレイにしたくなる。寝る前もきちんとスキンケアしなくちゃいけないし、休日はメンテナンスに時間をかけなくちゃいけない。あーなんて女の人って大変なの!って思いながらも今はメチャクチャそんなことが楽しいんです(笑)」
柚希礼音(ゆずきれおん)
6月11日生まれ、大阪府出身。’99年宝塚歌劇団入団。星組トップスターを経て2015年に退団、その後は女優として活躍。9月25日スタートの舞台『FACTORY GIRLS〜私が描く物語〜』に出演。