“愛”とひと言で表しても、その形は人それぞれ。でも、夢中になれるのはそこに“愛”があるから。「筋肉は裏切らない」の名言とともにマッスル旋風を巻き起こしている武田さん。その筋肉愛の裏に隠されている 強固な信念と、人生を豊かにパンプアップする人間力に迫ります。
努力がなければ手に入らない。だから筋肉は美しい
完璧な筋肉はまさにアートのよう。武田さんはその美しい肉体を維持するため、2日に一度、30、50、70、90㎏のベンチプレスを10回ずつ、仕上げに30㎏を100回上げるトレーニングメニューを15年以上続けている。
でも、インタビュー冒頭、「僕は筋肉そのものを愛しているわけじゃない」と意外なコメントが飛び出した。
「20代のときに体調を崩したのがトレーニングを始めた直接的なきっかけですが、続けてきたのは何かの形で自分を追い込むことができる人間だってことを自分自身に証明したかったから。そのために選んだのがベンチプレスであり、やってきた結果返ってきたのが筋肉だったっていうだけなんです」
「筋肉ってトレーニングさえすれば誰でも付けられます。考えてみてください、そもそもタダなんです。逆にどんなにお金を積んでも努力をしなければ絶対に得られない。だからこそ価値があり、そうでない人からはカッコよく見えるんだと思います。しかもある程度以上の筋肉を得るためには、ネガティブな感情も負荷として自分の中に取り込んで、変換していく能力が必要。つまり、人から見てもわかるほど筋肉が付いている人は、その体を得るための“心のテスト”にもパスしているって僕は思っているんです。だからそういう人は人間として信頼されるし、理不尽な目に遭ってもそれがバネになってベンチプレスがよく上がるから、『このストレスが今日も僕の胸筋になる。ありがとう』って思えるんですよね」
武田さんが筋肉愛を通して得たのは心身ともに強くてしなやかな人間力。そのおかげで仕事はもちろんプライベートでも、常に「現役のプレイヤー」でいられるようになったと言う。
「例えば、運命の人に出会えても自分の体がくたびれていて弱気な気持ちになったら、素直にその出会いに飛び込んでいけないと思うんです。でも、納得のいく体に仕上がっていて準備ができていれば、躊躇(ちゅうちょ)なくそのチャンスを逃さないで済む。目の前の出来事の傍観者でいるのはもったいない。だから僕は、自分の身体をいい状態に保つことと、人生をより長く楽しく大切に生きることはイコールに近いと思う。そうやって考えたら・・・運動したくなりません(笑)?」
武田真治(たけだしんじ)
1972年12月18日生まれ、北海道出身。俳優、声優、タレントのほかサックスプレイヤーとしても活躍。現在はドラマ「凪のお暇」(TBS)に出演中。