俳優、ミュージシャン、そして監督と、さまざまなジャンルに挑んできた菅田さん。その絶え間ない衝動はどこから生まれるのか。常に自分を刷新し、アップデートしていく菅田将暉的「今すぐ」の極意に迫ります。
怖くても飛び込んで、自分を追い込んでいく
まさに「今すぐ」の体現者。俳優として主演、助演問わず多彩な役に挑戦し続ける一方、作詞・作曲も手がけるアーティストの顔を持ち、最近はショートフィルムで監督デビューも果たした菅田さん。プライベートでも趣味の服作りでセンスを発揮するなど、公私ともにクリエイティブ な活動が止まらない。
「でも僕の場合、実は周りから言われて始まることが多いんです。もともと俳優になったのも当時のマネジャーさんが『やろう』って言ってくれたからだし、音楽にいたってはやるつもりもなかった。でも、レコード会社の方がものすごい熱意で『一緒に歌おう』と言ってくれまして。そう言ってくれる方がひとりでもいるなら、やってみようかなと」
監督もそういう流れで実現したと言う。
「そもそも僕ら俳優は企画者ではなくパフォーマーでありエンターテイナーですからね。大人の方々が環境を作ってくれないと何もできない。ただ、いつでも動けるようエンジンはずっとかけているし、アンテナは常に張っています。そこにいろんな話がきて環境が先に整っていくって感じ。で、僕自身は何も考えていないことが多いから、そういう状況に置かれて初めて『ヤバい、どうしよう』って困るっていう(笑)。でも、怖くても何でも、そこに飛び込んじゃうほうが動けるんですよね」
抑えがたい衝動や欲求は誰にでもある
主演映画『アルキメデスの大戦』で演じた天才数学者・櫂直(かいただし)は、そんな菅田さんによく似ている。彼は第二次大戦中、資料がまったくないなかで戦艦「大和」建造の正確な予算の見積もりを算出するという、とんでもなく厳しい使命=ゴールを託される。でも並外れた行動力と、“数学”で真実を解き明かしたいという抑えがたい衝動に突き動かされ、無我夢中で答えにたどり着いていく。
「櫂の感覚はすごくわかります。僕にはあんな計算スピードの能力はないけれど、要は知りたいって欲求ですよね。目につくものを何でも巻き尺で測っちゃうって癖もその表れで『君は測りたいと思わないのか?』ってセリフがあるんだけど、これって一見変でも、皆さんが好きな人のことをもっと知りたいって欲求と同じ」
行動に移せず、考えてしまう人にアドバイスをするとしたら?
「最終的にはどれだけ好きかってところに行き着くんじゃないですかね。僕の場合も、やっぱりお芝居が好きで、その熱量が強いからやらないほうがむしろ苦痛。その苦痛から自由になるために仕事をしているし、我慢したくないから頑張れるんですよね。で、あとは一回でもやってみて達成感を味わうこと。その気持ち良さってハンパないですから、一度でも味わえば中毒になってまたやりたくなる。そこにハマれば『今すぐ』の衝動は尽きないと思いますよ」
7/26、映画『アルキメデスの大戦』公開!
菅田さんが演じるのは戦艦「大和」の建造をめぐり帝国海軍に“数字”で立ち向かう天才数学者・櫂直。超難解な数式を黒板に書くシーンでは、「数式の内容を理解していないと書けないし、覚えられない」と実際に数学の猛勉強をして挑んだとか。その熱演に注目です!
【出演】菅田将暉、柄本佑、浜辺美波 / 田中泯 舘ひろし
【監督・脚本・VFX】山崎貴
【原作】三田紀房「アルキメデスの大戦」講談社『ヤングマガジン』連載
7/26(金)全国東宝系にてロードショー
菅田将暉(すだまさき)
1993年2月21日生まれ、大阪府出身。2009年俳優デビュー。昨年は主演ドラマ「3年A組–今から皆さんは、人質です–」が話題に。若手実力派俳優として活躍する一方、’17年から音楽活動をはじめ、アーティストとしても注目を集める。今後は映画『タロウのバカ』が9/6(金)公開予定。