小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優の多部未華子さん。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.19 未知の世界を知り、新しい興味がわく一冊を探しています
《読者からのリクエスト》
職場での腹立たしい出来事とか、彼氏との些細な不協和音とか、日々の小さな心のザワつきになんだか疲れている私。もっと視野を大きく広く持てたら、こんなしょーもないことに、いちいち反応することもないのだろうけど・・・。もっと物事に対して達観できる人間になりたい。そのきっかけになるような、スケールの大きい本を読んでみたいと思っています。
難問に対するホーキング博士の言葉が
ストレートに頭に入ってくる
宇宙って壮大すぎてピンとこないですよね・・・。でも宇宙人って本当に存在するのかな、とか、遠い将来、人間は簡単に他の惑星に行けるようになるのかな、とか、宇宙の先には一体何が広がっているんだろうと、少なからず幼少期に、一度は疑問をいだいたはずです。
そんな事を思いながら、スティーヴン・ホーキングの『ビッグ・クエスチョン〈人類の難問〉に答えよう』を読んでみました。
この本は、「神は存在するのか?」「タイムトラベルは可能なのか?」「人工知能は人間より賢くなるのか?」など、究極の問いに世界的に有名な天才物理学者ホーキング博士が自身の言葉で答えていく内容です。
私が一番印象に残った問いとホーキング博士の回答は“神は存在するのか?”の第1章。
今年はアジアやヨーロッパに行くことが多く、さまざまな国の宗教を学びながら、歴史ある建造物や壁画、絵画を見て回りました。ですから、浅い知識ながらもその意味を知れば知るほど神の存在に対して疑問を抱いていたところだったので、この章は俄然興味が湧きました。
そして、ひとつひとつの疑問に対してホーキング博士が「神の心を知るということは、自然法則を知るということだ」など、スパスパと自分の意見を述べていくのが気持ちよく、なおかつその考え方が分かりやすく、ストレートに頭に入ってきました。
理論物理学者が書いた本となると読む前は難しいんだろうなぁと、とても距離があったのですが、意外とすらすらと読めて驚きました。
宇宙論からだいぶ遠いところで生きていた私ですが、以前宇宙飛行士の毛利衛さんとお話をさせていただいた機会がありました。
実際に宇宙から地球を見た方にお目にかかるなんて滅多にないことなので、当時の私は毛利さんに思い切って、「どうしたら宇宙に行けますか?」と聞いてみたところ、毛利さんはイメージ通りの穏やかな優しい顔で「大きな夢を持つことです」と答えてくださいました。
ほほーっ! なんてかっこいいんだ・・・と感じたと同時に、現実問題どうやったら行けるということ?とも思った20歳のころの私でありました。
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