知花くららさんの初となる歌集『はじまりは、恋』が6月28日に発売! 『第63回角川短歌賞』で佳作を受賞するなど、歌人としても評価の高い知花さん。短歌を始めたきっかけや魅力について、たっぷりお話を伺いました!
30代はいい意味で“適当な感じ”が身についた
モデル、女優として活躍する一方、国際貢献活動で世界を飛び回る日々。そんなタフな知花さんが30代からハマったのは短歌だった。
「20代のころは周りが求める“知花くらら”のイメージに縛られて話す内容もどこか意識していたんですが、短歌は全然違うところから言葉が出てくる感覚があって。自分のことを語りながらも“五、七、五、七、七”という形に落とし込むことで読み手に預けるほどよい距離感があるから、すごく自由になれたんです。しかも、作るたびに“私、こんなことを考えていたんだ”って新鮮な驚きがあり、その瞬間の自分をフリーズドライして残せる楽しさがあるんですよ」
知花さんの処女歌集『はじまりは、恋』を読むと、その感覚はよくわかる。
あらゆる場面を簡潔に切り取る短歌は五感が刺激され、感情や感性がヴィヴィッドに目覚めていく感じ。
「短歌を始めてからものの見方や考え方が変わりました。20代の頃のように正解を求めなくなり、いい意味で“適当な感じ”が身についた気がします。今もその時々の心と向き合いつつ10年後、20年後の自分を想像している感じ。そうすると自然と、どう生きていきたいのかビジョンが浮かんでくるんですよ」
短歌で磨いたミクロな視点と、遥か未来を見据えるマクロの視点を持った絶妙なバランス感覚。新しい命も授かり、充実した30代の日々を送る知花さんに、GINGER読者へオススメの一首を挙げてもらった。
「『この世界で波は計算できないとふ言つてやりたいあなたもよつて』。普段使っている言葉で作れるのが短歌の良さ。ここを入り口に短歌に興味を持ってもらえたらうれしいですね」
知花くらら(ちばなくらら)
1982年3月27日生まれ、沖縄県出身。2006年ミス・ユニバース世界大会で準優秀を獲得。モデル、女優として活躍するほか、’07年から始めた国連VFP(国連世界食糧計画)の活動は12年目を迎える。新聞や雑誌でエッセイも連載中。