10代から主演の重責を背負い、20代を懸命に駆け抜け、そして30代に突入。どんなときも第一線を歩む女優でありながら、彼女のこの透明感あふれる佇まいには驚かされるばかり!
軽やかに道を極める長澤まさみさんに、自身の決断やタイミングについて語っていただきました。
「こだわりがない」というこだわり
現在31歳。長澤さんには、女優の道を歩みながら少しずつ身につけてきた、あるコツがあるそうです。それは「決断はしても、決め事は作らない」ということ。
「決め事はこだわりと言い換えてもいいかもしれません。20代はそれらが多すぎて、物事に素直に向き合えないことがありました。でもそれが足かせになると気が付いて、あるときからスパッとやめたんです。決め事とかこだわりって、なんというかうぬぼれのように感じることもあって、邪魔だなって。この仕事が大好きだし、続けていくと決断して覚悟しているからこそ、持つべきはこだわりではなく責任。その意味でも毎回毎回がいつも大きな決断なんです」
そして、静かにこう続けます。
「才能のある人なんてほんのひと握り。何者でもなかった私が、今少しでも何かを成し得ているとしたら、尊敬する先輩方に一から十まですべてを教えてもらい、さまざまな人々に助けてもらったおかげ。自分の存在価値は、はっきり言ってどうでもいいんです。それより物語の一部になりたい。だから映画が好き。ドラマが好き。舞台が好き。できない人間はやるしかないですよね。だから粛々と続けているだけなんです」
「よし、進むぞ!」と決意を新たに
いくつもの超大作に挑んできた長澤さんの最新作が、映画『コンフィデンスマン JP』。信用詐欺師(=コンフィデンスマン)たちが二転三転の騙し合いを繰り広げる、あの人気ドラマがいよいよ映画化されるのです!
「ドラマのときからスタッフ全員の士気が高くて、メインキャストはもちろん、ゲストの方々も演じることを心から楽しんでいる、そんな作品になりました」
長澤さんが信頼を寄せる古沢良太さんの脚本は本当に素晴らしく、彼が生み出す個性豊かなキャラクターがさらに躍動する・・・映画もそんなストーリーに仕上がっています。
長澤さん演じるダー子は、高い知能を持ちながらどこか詰めが甘く、その不完全さと飄々(ひょうひょう)とした佇まいが魅力の、愛すべき天才詐欺師。
「ダー子っていつもちょっと“ふざけてる”んですよね。物事を真面目に捉えるのではなく・・・うーんやっぱりどこかふざけてる(笑)。今は情報社会で、検索すればひとまずの答えは出る時代。でも想像力までその範囲内に収まってしまったら、すごくもったいないことですよね。だからこそ、あえて遊ぶ、ハズす。少しふざける。その揺れと幅みたいなものが、ダー子の最大の魅力なのかなと思います。もっと彼女を掘り下げて、ダー子としてスキルアップしたい。こんな役柄に出合えたこと、心から幸せだと感じています」
映画化は“詐欺”じゃなかった!
「コンフィデンスマンの世界へようこそ!」
映画の冒頭で、ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人がこのセリフを口にしたとき、ドラマ視聴者だった人はきっと誰もが「おかえりー!」という思いをともに身震いすることでしょう。
もちろんドラマを見逃した人だって、香港を舞台に繰り広げられるだまし合いに引き込まれること必至です。
痛快かつ壮大なコンゲーム、ぜひ劇場スクリーンでお楽しみくださいね!
映画『コンフィデンスマン JP』
監督:田中亮
脚本:古沢良太
出演:長澤まさみ、 東出昌大、 小手伸也 / 小日向文世 ほか
5月17日(金) 全国東宝系にてロードショー
長澤まさみ(ながさわまさみ)
1987年6月3日生まれ、静岡県出身。2000年第5回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリ受賞。数多くの映画、ドラマ、舞台、CMで活躍中。出演映画『キングダム』が大ヒット公開中。