小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優の多部未華子さん。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.14 美しい日本語を操れる女性に憧れます。言葉遣いに目覚める一冊を教えて
《読者からのリクエスト》
普段はあまり意識せずに言葉を発していましたが、この前、彼のご両親との顔合わせがあり、自分の言葉選びや言葉遣いがイマイチ洗練されていないことに気付き、落ち込みました・・・。まずは何かいい本を読んで、“言葉”に目覚めたいです。
《多部さんのオススメは・・・》
意識を少しずつ変えるだけで、
言葉はいかようにも変えられる
美しい日本語を使えるように・・・。その気持ちとても分かります。 私もつい最近、注意されたことがありました。
友人との会話で、私が「え? それはチャリで行ける?」と口にしたときがあったのですが、友人に「チャリじゃなくて、自転車って言った方が言葉として美しいよ」と指摘されました。“チャリ”という言葉は、誰もが聞き慣れているはずですし、私もなんの違和感もなく自然と使っていたのですが、確かに聴こえ方として、崩して使うよりもちゃんと“自転車” と言った方がきれいですよね。
その友人は他にも、「なに食べたい?」と聞かれたとき、「肉!」と答えるよりも「お肉!」と“お”をきちんと付けて答えた方が女性としては可愛いし綺麗だと思う、と言っていました。本当に些細なことですし、その部分をこだわって聴く人も少ないかもしれませんが、たった一文字でもちょっとしたことを直すだけで話し言葉の品の良さが随分と変わるなと思いました。
美しい日本語を自然と使える方は素敵だなぁと思います。でもきちんと使えない私は、美しい言葉を話す方と対面する機会があると、緊張してしまって、ひたすら会釈し続けることくらいしかできません。目上の方に対して、丁寧な言葉がすらすらと出てくれば、素敵な言葉のやりとりができるのに・・・と頭では分かっているのですが・・・「まじで?」とか、「え? やばくない?」とか、そんな言葉ばかり、ついつい出てきてしまいます。
高橋こうじさんの『日本の大和言葉を美しく話す』は、日常使うことがないような、ぱっと読んでもどのような意味があるのか分からない言葉を、どのように使えばいいのか細かく説明してくれています。「こよなく」や「上置き」など聞いたことはあるけれど、会話の中で使ったことのないような言葉ばかりですが、自然と使えるようになったら本のタイトル通り、美しく話せるだろうなと思いますし、かっこいいですよね。
言葉ひとつひとつを大切に、かつ丁寧に話せるように、少しずつ意識を変えるだけで、自分から発する言葉はいかようにも変えられる気がします。しかも意外と簡単に変えられそうですし。
私も友人に言われたことを胸に、少しずつですが、意識して、誰かとお話ししてみようと思います。
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