女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で、世の女たちの生き様を観察します。
第5回 隣の芝生が青くない女
20代後半くらいから、結婚していく女友達がどんどん増えきた。それに対して、
「みんな結婚していくけど、妥協してるようにしか見えない」
と猛毒を吐く、独身の女友達もよく見る。
わたしもそのひとりだった。
“隣の芝が青く見えない”状態なのである。
みんなで学生時代に思い描いていた理想像、
「イケメン、高身長、しかも経済力も充分にある」
そんな男性と結婚した女友達は、わたしの周りにはひとりもいない。
みんな「いい人そう」で「優しそう」な人と結婚した。心安らぐ、目にいい緑色の芝生を手に入れたのだ。
「わたしはそんな芝生(男)じゃ満足できない」
と言った、自分の足元をふと見てみた。
まず草すら生えてない(彼氏すらいない)、
当分なにも生えそうもない焼け野が原にポツリと立ち、
友人が手に入れた、誰に見せても恥ずかしくない生い茂った緑の芝生に野次を飛ばしている。
「今に見ててよ、わたしは超青い芝生を手に入れて見せるんだから!」と。
もはやただの騒音おばさんである。
焼け野が原の女にどうのこうの言われても、友人もいい迷惑なはず。
この世で一番悲しい、隣人トラブル。
友人の芝生は十二分に青に等しいこと、
いやそれよりもまず、
自身の人としての青さに気づくことが先だと思った。
最後に、
友人の幸せとかけまして
子供の自転車を後ろから支える親と解きます。
その心は
どちらも手放しで喜びたいでしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。