女優として数多くのドラマや映画に出演するほか、アーティストとしても多数の作品を発表している松下奈緒さん。この春、2015年にWOWOWで放送された主演ドラマ「闇の伴走者」の続編の放送が決定しました。3年ぶりに主人公の優希を演じる松下さんに、心境の変化など話を伺いました。
30代になって、流れに身をまかす気持ちよさを知りました
女優だけでなくピアニストとして長く音楽に携わっているせいだろうか、松下さんの話し方、声にはずっと聴いていたくなるような穏やかで心地よいリズムと流れを感じます。
「本当ですか? ボソボソ話すので聞きづらいって言われるんですけど(笑)。ただ最近、音楽とお芝居は似ているなと思っていて。曲でAメロやBメロ、サビって起承転結をつけるように、セリフを言うときもどこで句読点やアクセントを持ってくるかで聞こえ方が変わってくる。つまり曲も言葉も自分のなかに旋律があって、それが自然に聞こえるように出てくることが理想だと思うんです」
内から湧き出る旋律を無理なくよどみなく奏でていく。その感覚は生き方にも表れていて、力まずともほどよい力を発揮できる柔軟な筋力が30代になって身についたそう。
「20代のころは“こうじゃなきゃいけない”ってルールを自分で決めていて、そのとおりにいかないときの怖さやギャップも激しかったんですね。でも、いろんなことを取り込んでいくうちにそんなルールはいらないなと。むしろ流れに身をまかす方が気持ちがいいし、仕事もやりやすくなる感覚がなんとなく掴めてきた。今も、自分をしなやかに保つのは難しいですけど、柔らかくしておく部分は大事だなって実感しています」
止まらずにずっと走り続けている方がいい
そんな松下さんがWOWOWで放送された「闇の伴走者」の続編に出演します。主人公で出版関係専門の調査員・優希は、自身とともに成長してきた思い入れの深い役。まだ20代だった2015年の前作のときはちょっと尖っていた優希もまた、3年後の今作では人として女性として変化しているのだとか。
「優希は信念が強い分、1作目では融通の利かないところがあったんですが、今回はその裏にある弱さを知ることでさらに強い女性へと成長しています。監督からは『もっと優しく演じてください』って言われてしまったんですが(笑)、そこらへんの強弱のバランスを調整しながら、より人間味の増した優希の魅力を表現するように努めました」
前作と変わらないのは優希が超仕事人間という点。そこは「自分とまったく同じ」と笑う松下さん。
「私の場合、現場でもらう刺激がインプットになり、それをそのままお芝居や曲作りでアウトプットするので、仕事のなかですべて完結できる。だから消耗することがないし、プライベートが充実していなくても平気なんです。むしろ止まらずにずっと走り続けている方がいいので、サメとかマグロとか回遊魚に近いのかもしれない(笑)。そのせいか悩みがないことが悩みっていうぐらい、ストレスもほぼないんですよね」
年を重ねるごとにノールール、ノーストレスで必要のないものを排除していく。松下さんが発する心地よいリズムは、その軽やかで健やかなマインドによって刻まれているのです。
「連続ドラマW 闇の伴走者 ~編集長の条件」は3月30日(土)より放送開始!
異色ミステリー「連続ドラマW 闇の伴走者」の続編。 松下奈緒さん演じる調査員と古田新太さん演じる漫画編集者が、伝説の編集長の死の真相に迫る!
「連続ドラマW 闇の伴走者~編集長の条件」
【出演】松下奈緒、古田新太ほか
【監督】三木孝浩
【脚本】阿相クミコ
【原作】長崎尚志
『編集長の条件 -醍醐真司の博覧推理ファイル-』 新潮文庫
3月31日( 土)よりWOWOWで放送開始 ※第1話無料放送
http://www.wowow.co.jp/dramaw/bansosha2/?gclid=EAIaIQobChMIg8e2xc-M2gIVyDUrCh0tggcvEAAYASAAEgILefD_BwE